運行管理の拘束時間とはどのくらい?運行管理における拘束時間・休憩時間・休息時間の考え方
ドライバーの長時間勤務を防ぐために
- 「拘束時間」
- 「休息時間」
- 「運転時間」
- 「連続運転」
などは厳しく定められています。
そこでここでは、ドライバーの「拘束時間」について細かく紹介していきたいと思います。
拘束時間についてのルール
拘束時間とは
拘束時間は基本的に「始業から終業まで」の時間のことを指します。
労働者が会社や事業所に出勤して、運送や配送、荷物の積み降ろしなどの仕事を行って会社に戻り、完全に退社するまでの時間のことを指しています。
トラックドライバーの1日は始業時間から
運送業界では始業時間が必ず毎日同じというわけではありません。日によっては早くから始まる日もあります。そこで拘束時間の計算の仕方が必要となります。
運送業界での始業時間は「始業してから24時間が経過するまでを1日」と考えるのが基本です。そのため出勤日に関しては始業時間を毎日考える必要があります。
朝6時に出社した日は翌日の朝6時までが「1日」とカウントされます。別の日に朝10時に出勤した場合は翌日の朝10時までが1日となります。
原則は1日13時間
1日の拘束時間は原則13時間となってます。これに休息期間である8時間を加えても24時間には足りません。これは拘束時間が最大16時間まで延長が可能となっていることが関係しています。
最大拘束時間である16時間勤務の場合に継続して8時間の休息と考えられるのです。16時間勤務は週に2回が限度とされており、連続して休息が8時間しか取れないということにはなりません。
1ヶ月の拘束時間は293時間
1ヶ月の拘束時間は293時間までとされています。ただし拘束時間の限度については労使協定が結ばれている場合は最大320時間まで延長することが可能となっています。
休憩時間と休息時間
休憩時間とは
休憩時間とはドライバーが自由に過ごすことができる時間のことを言います。
食事や休憩、仮眠など自由に過ごすことができる時間であり、「労働時間には入らないが拘束時間には入る」というものです。ちなみに荷待ちなどの待機中は休憩時間には含まれません。
休息期間とは
休息期間はドライバーが勤務を終了して次に出勤するまでの時間のことを指します。
もちろん仕事で運転することもなく、仕事の待機をしなければならないこともなく食事、睡眠、娯楽など何をしても自由です。
改善基準告示によればドライバーの健康状態を保つためには勤務終了後は「継続して8時間以上の休息」が必要とされています。
休息期間の特例
休息期間は分割することが可能です。この場合は1回4時間以上の休息を分割してとることになります。ただし1日の休息期間の合計が10時間以上になるようにしなければいけません。
拘束時間についてのQ&A
休憩時間は拘束時間に入りますか?
休憩時間は拘束時間に含まれます。ただし、労働時間には含まれませんので拘束時間は「労働時間+休憩時間」ということになります。
長距離で自宅に帰れないときは?
例えば長距離トラックで2人乗務しているときは1週間のうち何度でも最大拘束時間は1日20時間まで延長することができ、休息期間は4時間まで短縮することが可能です。
また、フェリーを利用する場合は「乗船中の2時間は拘束時間として取り扱い、それ以外は休息期間となる。減算後の休息期間はフェリー下船から勤務終了までの時間の2分の1を下回ってはいけない」という決まりがあります。
拘束時間内の連続運転時間は?
連続で4時間運転をしたら必ず30分以上の休憩が必要となります。つまり4時間半のうち30分は休憩に当てるということになります。
しかし運転状況によっては30分以上の休憩を一度にとることが難しい場合もあります。そういったときは「1回10分以上」という条件つきで分割することが可能です。
16時間の拘束は週何日まで?
16時間勤務は週に2回が限度とされており、連続して休息が8時間しか取れないということにはなりません。この時の「週」は基本的に「日曜から土曜まで」という考え方になります。
ただし会社で就業規則に規定がある場合はそちらが優先されることになります。
長時間労働に対する行政の意識
事故のリスク
過酷な労働環境での仕事を行っていたドライバーが大きな事故を起こすというニュースがテレビでも多く流れていることがありました。
特に長距離トラックや観光バスなどのドライバーは長時間勤務になることが多くなるからです。
休憩時間が安定して取れていないと運転に対する集中力が低下し、大事故を起こすことにつながっているのです。休憩時間を確保することが事故のリスクを下げることになるのです。
訴訟のリスク
休憩時間や休息期間が正しく管理されていないとドライバーが残業代を請求してきたときにそれらが正しく確保できていなかったとされる場合があります。
ドライバーが運行記録などで休憩できていなかったことを証拠として提出した場合などは不足している休息期間の時間や休憩時間分も残業代として請求される可能性があります。
また、休憩時間が取れていなかったことで
- ドライバーが過労死
- 過労によって事故を起こした
などの場合は損害賠償請求訴訟を起こされる可能性があります。これは「使用者は労働者の安全と健康を守るために必要な配慮をする義務」を負っているためです。
「労働者の労働時間、休憩時間、休日、休憩場所などを確保する」ことも義務に含まれているのです。
行政処分のリスク
労働基準法において「労働者の労働時間が6時間を超える場合には使用者は休憩時間を与えなければいけない」と義務付けられていることに加えて、運送業を対象とした改善基準告示「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」において、連続運転は最大4時間までとされ、その後30分以上の休憩をとらなければいけないと定められています。
これらを踏まえて行政、事業者、ドライバーの中では労働環境に対する意識も変わってきています。無茶な長時間勤務は減少傾向にあると言えるでしょう。
まとめ
運行管理をするにあたってドライバーの拘束時間、休憩時間、休息期間を管理することは非常に重要なポイントとなります。細かく確認して安全管理に努めましょう。