大型トラックで独立するために必要な資格や能力とは?法律や資金についても解説!
大型トラックの運転手として働いている方であれば、自分のトラックを持って独立したいと一度は考えたことがあるのではないでしょうか。
しかし、いざ真剣に独立しようと思い立ったとき、どのような方法で手続きを踏めばいいのかよくわからないという方も少なくありません。
そこで今回は、大型トラックでの独立の方法や関係する法令にについて詳しく紹介していきたいと思います。
大型トラックの需要は高い!
そもそも、独立してやっていけるのかどうかが不安な方もいらっしゃるのではないでしょうか。独立するということは、それまで所属していた会社の看板が使えなくなるということ。
「○○運送のドライバー」ではなくドライバー個人、もしくは自分で新しく設立した法人の名前で営業しなければならないわけで、仕事を取ってくること自体にハードルが存在します。
しかし結論を言えば、大型トラックに関する限り、さほど心配は要りません。というのも、大型トラックの需要は年々高まっているためです。この背景には、運送業界における深刻な人手不足が関係しています。
現在の運送業界ではドライバーが不足しているため、一度に運べる荷物の量を増やす施策が試みられており、その一環として輸送トラックの大型化が進んでいるのです。
独立方法について
大型トラックの需要に関する不安が解消されたところで、独立の方法について具体的に考えていくことにしましょう。
トラックを持ち込んで独立
大型トラックの運転手として独立するには大きく分けて2種類の方法があります。まず、トラック持ち込みで仕事をするやり方。
トラック持ち込みという表現にピンとこない方もいらっしゃるかもしれませんが、これは要するに会社所属のドライバーになるのではなく、個人でトラックを所有して自営業者としてドライバー業を営むという道です。
個人事業主として開業すると言えばわかりやすいでしょう。
トラック持ち込みは「個人事業主として運送会社から業務委託・請負・専属契約などの形で仕事を受注する」という形式ですから、仕事内容は運送会社のドライバーと変わりません。
大型トラックの場合だと長距離輸送が中心になるでしょう。
法人として独立
第二に、法人として独立するやり方。いわゆる起業ですね。単純にトラック運転手として働くよりも規模の大きなビジネスがしたいのであれば、個人事業を開業するよりも法人を立ち上げるのがオススメです。
一般に法人は個人よりも信用力がありますから、受注できる仕事の幅も広くなります。
また、それまで個人事業主として事業を営んでいた場合でも、事業規模がある程度以上大きくなってくると税金や社会保険料といった面で法人化にメリットが出てきます。
トラックを持ち込んだ場合のメリットとデメリット
トラック持ち込みのメリットとしては、初期費用が安く済む点が挙げられます。
もちろんトラックの購入費や運送営業許可を得るための費用は必要なので一定の資金は用意しなければならないのですが、個人事業を開業するための手続きそのものには料金がかかりません。
一方で会社を設立するためには16万~20万円ほどの費用が必要とされるため、トラック持ち込みのほうが相対的に安いわけです。デメリットは、節税が難しい点。
売上が伸びれば伸びるほど所得税を多く支払う必要が出てくるのですが、個人事業主だと節税の手段が限られてきます。このため、トラック持ち込みでは売上を伸ばしても実質的な増益に繋がるとは限らないのです。
法人のメリットとデメリット
法人化のメリットは、先も少し触れたように信用力が高い点。一般的に会社のほうが自営業よりも信用を得られやすいですよね。
そのため、法人設立のほうがトラック持ち込みよりも受けられる仕事の幅が広いのです。相手にしてくれる荷主も多くなりますし、個人の手に余る仕事であっても会社の規模しだいでは対応できるでしょう。
また、節税の手段が多いことも見逃せません。個人事業主の払う所得税は累進課税なので売上が増えるほど税額も増えていくのですが、法人の場合は法人税、法人住民税、法人事業税を合わせた実効税率での支払いとなるため、
一定以上の所得になると法人のほうが税金が安くなるのです。年間800万~1,000万円以上の売上をコンスタントに出せるのであれば法人化したほうがよい、と言われるのはこのためです。
ただし、法人化には会計処理が複雑になるというデメリットもあります。法人の会計は専門知識のない個人ではまず手に負えませんので、税理士に依頼する必要が出てきます。
法人として独立するために必要なこと
法人を設立するためには所定の手続きを踏まなければなりません。事前に準備しなければいけないものもありますので、しっかりと確認しておきましょう。
一般貨物自動車運送事業の許可
大型トラックの仕事で法人化するということは、すなわち運送会社を創業するということです。貨物運送事業法の規定により、運送会社をつくるためには「一般貨物自動車運送事業」の許可を得なければなりません。
一般貨物自動車運送事業の許可取得条件
一般貨物自動車運送事業の許可を得るためにはいくつかの条件をクリアする必要があります。
開業資金
まず要求されるのは開業資金です。
一般貨物自動車運送事業の許可を得るには、「車両費」「建物費」「土地代」「保険料」「各種税金」「運転資金」を合算し、所要資金としてあらかじめ確保しなければなりません。
少なくとも1,000万円以上の初期費用が必要であると覚えておきましょう。
事務所と車庫
運送事業を営むためには事務所と駐車場が必要です。起業の際に建物費や土地代がかかるのはこのためで、制度上もこれらが揃っていなければ営業の許可を受けることはできません。
また、ドライバーが休憩や睡眠をとれる施設も1人あたり2.5平方メートル以上という条件で用意しなければなりません。
事業車両
運送会社として営業するのですから、当然トラックが必要ですよね。一般貨物自動車運送事業の許可を得るためにはトラックを5台以上所有している必要があると定められています。
運転手と運行管理者
トラックを動かすためには運転手がいなければなりません。また、その運転手を管理する運行管理者も必要となります。
運転手はトラックの数と同じだけ必要ですから、最低でも5名。ドライバー5名の営業所に必要とされる運行管理者は1名なので、合計6名以上の人員が絶対条件ということになります。
なお、社長自らドライバーや運行管理者を兼任するのは問題ありません。
独立には安定した荷物を持った荷主がいることが大切
個人事業主としてトラック持ち込みで働くのであれ、運送会社を新たに設立するのであれ、大型トラックで独立しようと思ったら安定して仕事をくれる荷主が必須です。
募集を探したり営業をかけたりといった努力は怠らないようにしましょう。
まとめ
どんな職種であれ独立するハードルは高いものですが、運送業界においては需要そのものは多いため、しっかりと準備さえしておけば独立後も充分にやっていくことが可能です。
メリットとデメリットを把握して、自分に合ったやり方での独立を考えましょう。