白ナンバートラックで罰則を受ける行為について解説!白ナンバートラック自体は違法ではない
白ナンバーのトラックで荷物を輸送すると、違法になることがありますが全ての輸送が違法になるわけではありません。
そこで今回は、違法なる輸送行為とは何なのか、違法になってしまった場合の罰則まで詳しくご紹介していきたいと思います。
白ナンバートラック自体は違法ではない!
街を走っているトラックを見ていただければわかると思いますが、そのほとんどが緑のナンバープレートが付いているトラックになります。これは事業用トラックの証です。
よく広告やテレビのCMなどで白ナンバーでの配送行為は違法などという広告や話を耳にしますが、実際には白ナンバーのトラックも、見かける事があります。これらの車両は違法なのでしょうか?
実は白ナンバートラック自体は違法ではありません。例えばトラックに乗るのが大好きで自家用にトラックを購入し、白ナンバーを取得して、運転するだけであればなんの問題もありません。
問題になるのは、その白ナンバーのトラックで運賃をもらって輸送行為を行なって利益を上げていた場合です。その場合は白ナンバートラックで営業行為を行なっていたとして、違法になってしまいます。
白ナンバートラックと緑ナンバートラックは何が違う?
白ナンバートラックとは?
白ナンバーのトラックは自家用の常用・商用車用のナンバーになります。これは自家用の乗用車などと使用目的は同じになります。そういった事から、例えば自社で取り扱っている商品を運ぶことなどは可能になります。
その一方で緑ナンバートラックでは行う事ができる、他社の商品を運送する事や送迎などで運賃が発生するような営業行為はできません。
もし、白ナンバートラックを使って、利益を得るために営業を行った場合は違法になりますので、そのような行為は絶対に行わないようにしましょう。
緑ナンバートラックとは?
緑ナンバーとは別名営業ナンバーとも呼ばれていて、運送事業の運営には欠かせないナンバーになります。緑ナンバーは運搬自体を営業行為としている業者となり、その対価として料金や利益をえているものになります。
要するに白ナンバートラックと緑ナンバートラックとの違いは自家用か営業用かの違いになるのです。
この緑ナンバーですが、通常、地名の横に2桁から3桁の数字が付いていますが、荷物などの運搬を目的とした緑ナンバーのトラックには4桁の数字がつけられています。
この緑ナンバーは事故のリスクが高いため自動車保険の保険料が白ナンバーの車両に比べて高くなってしまう傾向がありますが、一方で税金面では自動車税、自動車重量税が安くなるといったメリットもあります。
白ナンバートラックでの輸送行為は可能なのか?
白ナンバーのトラックでは運送業はできませんが、例外として請負スタイルの仕事であれば、行う事ができます。請負スタイルの運送業で個人が運営する分には問題はないという事になっています。
また、自社製品を顧客に輸送することも違法行為にはなりません。単純に荷物を運ぶだけなら白ナンバートラックでも可能です。そして、白ナンバーを使ったドライバーの仕事も実は意外とあります。
例えば食品加工会社などでは自社で製造した加工食品を配達するために白ナンバートラックを使っているケースがあります。建設業などで使う大型のダンプカーや廃棄物処理業で使うトラックも白ナンバーのトラックを使っているところが多いです。
こういった荷物を運ぶための使用だけならば白ナンバーでの輸送行為も可能になります。
違法行為に対する罰則について
輸送者側
白ナンバートラックでの営業目的の運送は認められていないので、営業行為を行うためには一般貨物自動車運送事業の許可、もしくは特定貨物自動車運送事業の許可を得る必要があります。
もし白ナンバーでの料金や利益を得るための営業を行った場合は、貨物自動車運送事業法3条1項35条1項に違反する事になります。
もし違反した場合は
- 1年から3年以下の懲役
もしくは - 300万円以下の罰金
もしくはこれらの併科に処すると定められており大変重い罰則が課せられてしまいます。
また、もし罰金ではなく懲役刑になってしまったとして、その場合は懲役が終わってから2年が経過しなければ、新規許可の申請ができない事も、覚えておいて下さい。
荷主側
白ナンバーのトラックに仕事を頼んでいる荷主に対しての罰則についてですが、現状では荷主に対して直接の罰則の規定はありません。
したがって白ナンバートラックでの営業行為が発覚したとしても罰せられるのは、白ナンバートラックで営業していた輸送者側だけになります。
しかし法的に荷主企業が責任を負う可能性は低くてもやはり、違法業者と知りながら仕事を任せていたという世間の悪い評価は避けられず、会社のイメージの悪化は避けられません。
まして大手企業で白ナンバートラックの運送業者に物を運んでもらうなどという話はあり得ない事だといっても良いでしょう。
白ナンバートラックで違法運送行為を続ける事は、輸送者側、荷主側、両者にとって全く良い事がないという事になります。
白ナンバーでの輸送行為NG例
例1
例えばパン工場などの加工食品会社が自社の食品を配送するのに、会社所有の白ナンバートラックで配達するのは、有償運送ではありませんので、違反ではありません。
この場合は輸送行為自体で利益を得ていないので違反に該当しないからです。
しかしもし、他社のトラックを依頼して下請料金などを払う場合、もしその業者が白ナンバーの事業者だった場合はその事業者は違反になってしまいます。
この場合は依頼した白ナンバートラックの輸送者が荷物を運ぶ事で利益を得る事になり、有償運送という事になりますので、違反という事になります。
例2
廃棄物処理業者が自社で解体して発生させた廃材や廃棄物を社有車で運んだ場合は有償運送ではないため違反ではありません。
しかしこの廃材や廃棄物を白ナンバートラックの事業者に依頼して輸送してもらい運賃を支払った場合、その白ナンバーの業者は違反になります。
この場合、白ナンバーの業者が荷物を輸送する事で利益を得ているのでその行為が違反という事になります。
白ナンバートラックの例外として、引っ越し運送事業者が繁忙期(3月〜4月)に車両不足を補うためにやむを得ずレンタカー(白ナンバー)トラックを手配して引越し業務を行う事は、運輸局に届出をする事で一時的ですが、認められています。
ただこの場合もあくまで例外的な措置ですので、引越し業者が白いナンバーで業務を行なっているのを見かけて、引越業務は自家用車でもできるのかと勘違いしないようにしましょう。
判断できない場合は国土交通省で確認を可能!
白ナンバートラックの配送行為はグレーな部分もあり違法なのか違法ではないのかの判断が難しい場合もあります。そんな場合は国土交通省に問い合わせる事で確認する事ができます。
国土交通省では法令適用事前確認手続という制度があり、違法か違法でないかの判断が難しい事案の質問に対して、丁寧に答えてくれます。もし不安な場合は以下のサイトから具体的に問い合わせてみる事をお勧めします。
国土交通省の見解は、有償で自動車を使用して貨物を運送する事業については、貨物自動車運送事業法に基づく許可等が必要となる。という事になっていますので、運賃をもらって荷物を運ぶ行為を行う場合は緑ナンバーの取得が大前提になるという事になります。
国土交通省:法令適用事前確認手続照会及び回答事案
http://www.mlit.go.jp/appli/file000016.html
まとめ
ここまでは白ナンバートラックで輸送を行なった場合、どのような場合が違法になり、また、違法にならないのかを具体例を上げて解説してきました。
近年はコンプライアンス遵守で世間の見る目も厳しくなり、白ナンバーでの営業行為もかなり減ってきています。この白ナンバートラックによる違法行為は今後、消滅していくのではないでしょうか。