大型トラックのスピードリミッターとは?スピードリミッターの仕組みと解除の罰則について
大型トラックには、スピードリミッターという装置が取り付けられており、この装置のおかげで大型トラックは、一定のスピードしか出せないように制御されています。
しかし、どのような条件で作動し、どのような仕組みになっているのか気になるのではないでしょうか。
そこで今回は、気になる大型トラックのスピードリミッターについて詳しくご紹介していきたいと思います。
大型トラックの事故原因の一つがスピード
ニュースなどで大型トラックによる事故が報道されると、その多くの事故はかなりの重大事故である事が多々あります。意外だと感じる方も多いかもしれませんが、大型トラックは安定した走行ができる安全な車両が多いです。
それなのにどうして重大事故が多いのか、疑問に感じる方もいらっしゃるかもしれません。実は大型トラックの重大事故につながる大きな原因は『スピード違反』によるものです。スピードを出し過ぎて制御ができなくなってしまうのです。
荷物が入っていない状態でもかなり車両総重量が大きいですから、スピードを出し過ぎると止まりにくくなってしまうのです。この事から大型トラックのスピードの出し過ぎ対策が求められるようになってきているのです。
なぜ速度超過の大型トラックが絶えないのか?
ここではどうして速度超過をしてしまう大型トラックが少なくならないのかを簡単にご紹介いたします。
過密な運行スケジュール
大型トラックがどうしてもスピードを超過して運転してしまうのか、その理由はいくつかありますが問題とされているのが『運航スケジュールが過密化している事』です。この問題の原因も大きく分けると2種類あります。
一つは荷主さんの要望に無理があるケースです。運送会社としては走る場所や走行する場所の最高速度を計算し、荷物の量を考慮してお届けの時間を決定していますが、荷主によってはできるだけ早く荷物を運んで欲しいといった要望が出る事があります。
そうなると運送会社の方も無理をして走らなくてはならず、結果的に全体的にスピード超過した状態で走行する必要が出てくるのです。まずはこれを改善しなくてはならないでしょう。
時間指定
荷主以外にも荷受け側の方が「何時までに指定場所にもってきて欲しい」という要望です。こうした時間指定をされてしまうと、その時間までに荷物を輸送しなくてはならなくなるので、自然にスピード超過してしまう事になるのです。
実はこうした時間指定を設けられてしまうと、時間以内に届ける事ができなかったら叱られてしまったり、何らかのペナルティが課せられてしまうかもしれないと思うと、ついついスピードを超過してしまう事もあるわけなのです。
短距離であればそれほど負担にはならないのかもしれませんが、長距離だった場合には気持ちも焦りますしスピードを出し過ぎてしまう事もあるのです。
大型トラックの速度を抑えるスピードリミッターとは?
ここでは大型トラックの速度を抑えるスピードリミッターとは何か?仕組みやデメリットなどについてをご紹介いたします。
スピードリミッター作動条件
大型トラックの規制速度は90km/hです。例えば高速道路で大型トラックが時速90km出すとスピードリミッターが作動して、それ以上のスピードが出せないように制御がかかってしまうのです。
ちなみにスピードリミッターは2003年9月に義務付けられています。さらにリミッター装着車はトラック後部、またはメーターパネルに装着済みステッカーを添付しなくてはなりません。
高速道路を走行する時に他の車の邪魔になる可能性がある場合には、トラック専用道路を走行する必要があります。
スピードリミッターの仕組み
スピードリミッターはどのような仕組みになっているのでしょうか?わかりやすく説明すると、スピードメーターの信号がバッテリーとつながっていて、速度が上がると電圧が弱くなりスピードを上げられなくなるという仕組みです。
例えば大型トラックの場合だとリミッターは90km/hなので、メーターが90km/hになると電気信号が伝わり、電圧が5.000回転程度に下がってしまいますので、それ以上アクセルを踏んでもスピードは出ないのです。
もちろん電圧が下がってもスピードが落ちれば再び回転数は上がります。つまり90km/h以下で走行すればスムーズに走る事ができるのです。
スピードリミッターのデメリットについて
速度超過せずに走る事ができるので安全運転ができて良いと思うかもしれませんが、ドライバーの中には地味にうっとおしいと感じる事もあるかもしれません。その理由はトラック同士で横に並んだ時に抜くに抜けない状態になるからです。
抜かしたいのに抜かせないので、まるで仲良く走行しているように見えてしまうのですが、後ろを走行している他の車にしてみたら、遅い車が並走して道をふさいだ状態である事に間違いはありませんよね。
なぜ高速道路で大型トラックが走行車線だけじゃなく、追い越し車線を遅いスピードで走っているの?という声がありますが、実はリミッターが原因なのです。
スピードリミッターの解除は可能だが…
スピードは遅いし抜くに抜けないのでスピードリミッターの解除をしたい!そう考える方がいるかもしれません。ここではスピードリミッターの解除の問題点についてご紹介いたします。
スピードリミッターは義務化されている
まず一番重要なのは先ほども少し触れましたが、2003年9月に法律で義務化されている事なのです。新車への装備義務付けが改定されたのが平成13年8月、すでに使用している車への義務付けは平成14年7月です。
つまり法律で義務化されているため、スピードリミッターを装備しないと法律違反になってしまいます。事故を低減させるための措置なので、高速道路が無い地域のみで運行する車両以外は必ず装着しなくてはなりません。
では次に、もしもスピードリミッターを解除してしまったらどのような罰則があるのかをご紹介いたします。
スピードリミッター解除の罰則
スピードリミッターが付いているとどうしても高速道路で他のトラックと並走する事になってしまい、イライラしてしまう方もいるかもしれません。だったらリミッターをカットしてしまえば良いのでは?と思う方もいらっしゃるかもしれませんよね。
ですがもしもリミッターを解除してしまったら、当然ですが法律違反となってしまいますので厳しい罰則が待っています。もしも検挙されてしまうような事があれば、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金を科せられてしまいます。
運転手にも当然厳しい罰則ですが、トラックを所有している会社にも15日以内に整備を行うよう命令されます。もしもその状態のまま走行してしまったら、今度は50万円以下の罰金が課せられます。運転手も3か月以下の懲役もしくは5万円以下の罰金が課せられます。
車検も非対応に
さらに困った事にスピードリミッターを解除してしまったトラックを車検に出そうとしても、車検が通らないのでそもそも走行する事ができなくなってしまいます。その状態のまま走行する事も当然法律で禁じられています。
ドライバーならどなたでもご存知だと思うのですが、車検を通さない車を走行している事がバレてしまった場合、一発で免許取消になってしまいますのでかなりのリスクを負う事になってしまうでしょう。
そうならないためにも必ずスピードリミッターを装着し、すでについているスピードリミッターをカットしようなどと思わない事です。
自分の命を守るためでもあるスピードリミッター
大型トラックは何も荷物を載せていなくても大きくてかなり重量が重い車両ですよね。そんな大きな鉄の塊が時速100km/h以上で走行して、万が一事故を起こしてしまうような事が起こってしまったら、それこそ走る凶器でしかありません。
もしも運転操作を誤ってぶつかってしまったら、ぶつけた相手の命も奪いかねませんし、自分の命も奪いかねない大事故につながってしまう可能性は否定できません。自分は大丈夫と思っていても事故を起こす時は起こすのです。
少しでも事故の規模を小さくするためにも、ドライバー自身の命を守るためにもスピードリミッターを理解して、安全運転に勤めるよう気を付けて運転しましょう。スピードリミッターは他人と自分の命を守るための装置なのですね。
まとめ
今回は、大型トラックに装着が義務化されているスピードリミッターの
- 役割
- 仕組み
- 作動条件
- 解除した時の罰則
などについてご紹介いたしました。命を守り事故を軽減するための措置なのでイライラせず安全運転を心がけましょう。