運送会社の退職金の相場はどのくらい?業種別トラックドライバーの退職金
民間企業には退職金と呼ばれる制度がありますよね。支給されるかどうかも金額の相場も会社や業界によってまちまちなのですが、運送会社で働くドライバーの退職金は一般的にどれくらいあるのでしょうか。
また、一口に運送会社と言っても仕事内容も規模もさまざまですが、それによって違いはあるのでしょうか。
この記事では、宅配会社や引越し会社、大型、中型トラックなど、運送業界の様々な業種における退職金事情を取り上げていきます。
運送会社に退職金はあるのか
まずは退職金一般について説明させていただきます。運送会社に退職金制度があるのかどうかから確認していきましょう。
退職金がもらえる条件
世間で退職金と呼ばれているものは正確には「退職一時金」といって、労働者が退職する際に会社から支払われる慰労金のことを意味しています。
一般的には勤続年数に比例して支払われ、支給される基準や詳細な支給額はその会社の就業規則によって定められています。
定年まで勤め上げた人ならほとんどの場合支給されます。途中退職の人はケースバイケースですが、会社都合なら1年未満、自己都合なら3年以上の勤続を経ていれば支払われることもあります。
また、退職金の額は「1ヶ月分の基本給与✕勤続年数✕給付率」で計算するのが基本と言われています。給付率は各企業ごとに設定されており、退職理由によっても変わってくるので一律いくらというわけではありません。
会社の規模にもよる退職金
退職金は基本給与をもとに計算されます。給与や待遇については大手企業と中小企業で差があるため、当然ながら退職金にも差が出てくることになります。
基本的には大手であれば高く、中小では低い額となるでしょう。ただし、小規模の会社であるからといって必ずしも退職金が少額とは限りません。
大手企業のグループ会社である場合は、給与体系も親会社のそれに準じて整備されている可能性があります。そのような会社の退職金はある程度の額が保証されていると考えられます。
退職金制度がない会社も
会社によってはそもそも退職金制度自体が存在しないケースもあります。というのも、退職金制度は法的に義務づけられているわけではないからです。
給与体系や待遇に関する規定などが整っている大手はともかく、零細の運送会社では退職金制度を設けていないことも珍しくありません。
退職金制度がない会社では、建前上、その額を月々の給与に上乗せしてあらかじめ支払っているということになっています。
業種別運送会社の退職金事情
運送会社の中にも、宅配をメインに行う会社、総合物流を手がける会社など、強みを持つ分野によって風土や体質が異なります。それぞれの退職金事情についておおまかな傾向を把握しておきましょう。
宅配会社の退職金
ある大手の宅配会社は退職金が出ないことで知られています。正確に言えば退職金制度そのものは存在するのですが、額が少ないのです。
ただしそのぶん、定年である60歳を過ぎても申し出れば会社を去らずに働き続けることができます。この会社におけるドライバーの再雇用の上限は65歳とのことです。
総合物流会社の退職金
総合物流の大手では福利厚生が比較的充実していて、とある会社では勤務3年から退職金が出ます。また、この会社では確定拠出年金も導入しているため、財形貯蓄という点でも有利と言えます。
石油・ケミカル系の退職金
石油・ケミカル系の運送会社は取り扱う荷物の性質上、働くために特別な資格を必要とします。一定の要件を備えた人材を採用する都合上、従業員の福利厚生は業界内でもしっかりしていることが多いです。
ただし、退職金という形では支給していない会社もあります。そのような会社の場合は、先述のとおり、月々の給与に額が上乗せされることになります。
引越し会社の退職金
引っ越し会社では、ドライバーの立場のままだと年収がそれほど上がらないことも。基本給与の上がり幅が小さいということですから、必然的にそれをベースに計算される退職金も少なめになります。
トラックの種類別ドライバーの退職金事情
同じ会社に勤めていても、どんなトラックに乗務しているかによって退職金の水準が変わってきます。
大型・長距離ドライバーの退職金
大型トラックや長距離トラックに乗務するドライバーの場合、比較的高い退職金を受け取ることができます。
相場としては長距離トラック勤続20年で500万~700万円。大型トラック勤続20年で350万~500万円といったところでしょう。
中型・小型トラックドライバーの退職金
中型トラックや小型トラックのドライバーの退職金は、大型車のドライバーと比べてやや低めの水準です。中小企業の比率が高まるため、平均するとどうしても低く算出されるのは致し方ないところでしょう。
会社による差異は大きいですが、一般的な相場としては勤続20年で300万~400万円ほどと言われています。
退職金をもらうための運送会社の選び方
退職金制度があるかどうかを見極めるためにはどうすればよいのでしょうか。
求人票の見方
就職や転職を見当している際に見るものといえば、何と言っても求人票ですよね。
求人票の給与欄や福利厚生欄をチェックしてみましょう。そこに退職金制度の有無が書かれていることがあります。また、インターネットを使って口コミを調べることも有効です。
やはり大手が安心
運送会社の規模は大手と中小とでかなり大きな差があります。大手ほど給与体系も福利厚生もしっかりしているので、やはり大手の会社に入ったほうが退職金をもらえる可能性は高いと言えます。
まとめ
退職金がもらえるかどうかは、定年後の生活はもちろん、転職期間の生活を維持するうえで非常に重要な違いとなります。
求人に応募する前に情報をよく確認して、退職金制度があるかどうかを調べておきましょう。