白ナンバートラックの仕事と緑ナンバートラックの仕事内容の違いとは?法律違反にもご注意!
白ナンバーの車で営業してはいけない、という話を聞いたことのある方は多いはずです。
しかし実際に道路を見渡してみると、ナンバープレートの白いトラックが走っている光景をしばしば見かけるのではないでしょうか。
白ナンバーで走っても違法とならないのであれば、自分も仕事をしてみたいという方もいらっしゃいますよね。
そこで今回は、トラックで緑ナンバーを取得しなくてもできる仕事について、白ナンバーと緑ナンバーの法律上の違いなども含めて詳しく説明させていただきます。
白ナンバートラックとは?
まずは白ナンバートラックの定義から確認していきましょう。白ナンバーとは、要するにナンバープレートの色が白い車両のこと。
乗用車であれ商用車であれ、ナンバープレートが白いということは自家用であることを意味します。つまり白ナンバートラックというのは、自家用のトラックのことを指してそのように呼んでいるわけですね。
ここで気になるのは、自家用とはどういう意味なのか、ということ。トラックにおける自家用とは、主に「自分の荷物を載せて運ぶ」用途の車という意味です。
個人所有のトラックにはこのパターンが少なくありません。また、会社所有の場合であっても、自社で生産した製品を運搬する際などは白ナンバーで走っても罪に問われることはありません。
白ナンバートラックは違法?
しかし実際問題として、白ナンバーのトラックは違法であるという声が聞かれます。なぜこのような意見が散見されるのでしょうか。その理由は、前述した「白ナンバートラックは自家用である」という点にあります。
通常、トラックの仕事といえば運送業を想像しますよね。荷主から運賃を受け取って届け先まで荷物を輸送するという業務です。法律上、自家用トラックではこの業務を行うことができません。
これがために「白ナンバートラックは違法」という認識になりやすいわけですね。つまり白ナンバートラックで走ること自体が違法なのではなく、正確には「白ナンバートラックで営利目的で貨物運送を行うことが違法」なのです。
自社で生産した製品を自社の営業所に運ぶなど、自家用の範囲に収まる輸送を行う分には問題ありません。
緑ナンバートラックとは何が違うの?
運送会社が使用しているトラックを見てみると、ナンバープレートが緑色になっているはずです。いわゆる緑ナンバーですね。
運送業を行うためには緑ナンバーを取得しなければなりません。白ナンバーが自家用車である証明だったのに対して、緑ナンバーは事業用であるという証明なのです。
トラックで緑ナンバーを取得するためには、5台以上の貨物自動車を所有している必要があります。
車のナンバー全5種の色と特徴
自動車のナンバープレートには白と緑以外にも種類があることをご存じでしょうか。
実は、ナンバーは全部で5種類。
- 白
- 黒
- 緑
- 青
- 黄色
というパターンがあるのです。白が自家用、緑が事業用であることはすでに述べました。
では、残りの3色はどのような車に与えられるのでしょうか。わかりやすく表にまとめましたので、参考にしていただければ幸いです。
色 | 白 | 緑 | 黄色 | 黒 | 青 |
特徴 | 自家用 普通自動車以上 |
事業用 普通自動車以上 |
自家用 軽自動車 |
事業用 軽自動車 |
外務省用 |
白ナンバーと緑ナンバーの仕事について
白ナンバーが自家用、緑ナンバーが事業用であることはここまで再三述べてきたとおりです。ここからは、白ナンバーと緑ナンバーとで具体的にどのような仕事ができるのかを見ていくことにしましょう。
白ナンバーの仕事
先述のとおり白ナンバーで運送業を営むことはできません。つまり、運送費を受け取って他人の荷物を運ぶことはできないわけです。したがって、白ナンバーでできる仕事は運送費の発生しない運搬ということになります。
たとえば
- 自社の荷物を運ぶ場合
- ドライバーが個人事業主として請負業務を行う場合
などがこれに該当します。ちなみに「請負」とは、預かった荷物を一度自分の所有物にすることによって自社製品とみなして輸送するというやり方。
グレーゾーンではありますが、ダンプ業界などでは常態化している営業形態でもあり、民法上に規定もあるため一応認められていると言えます。
緑ナンバーの仕事
緑ナンバーのトラックは事業用です。つまり他人の荷物を有償で運搬することを仕事とする車で、簡単に言えば運送会社の業務用トラックは全てこれということになります。
運搬している商品を販売して利益を得ることは白ナンバーでもできますが、運搬という行為それ自体で利益をあげることは緑ナンバーでなければできません。
白ナンバーを取得するメリット・デメリット
白ナンバーとは何か、白ナンバーではどんな仕事ができるのかをここまで確認してきました。上記のことを踏まえたうえで、白ナンバーを取得することのメリットとデメリットについて考えてみましょう。
白ナンバーを取得するメリット
白ナンバーのトラックで仕事をするということは、通常、トラックを所有している企業に所属して給料をもらうことと同義です。
つまりどういうことかと言うと、運搬自体で利益が発生しているのではなく、運搬したものが最終的に市場で売れることで会社に利益が発生し、結果的にそれがドライバーの給料になるということです。
したがって、白ナンバートラックのドライバーの給料は、運賃に左右されることがありません。
一般的に言って、運送会社は荷主よりも弱い立場に置かれていることが少なくありません。料金改定の交渉で不利になることも多いため、緑ナンバートラックのドライバーの待遇は荷主や業界の動向にどうしても連動してしまうのです。
その点、白ナンバートラックのドライバーであれば待遇はある程度保証されていますし、たとえドライバーとしての仕事がなくなっても生産現場に配置転換されるため雇用という意味でも安定していると言えるでしょう。
白ナンバーを取得するデメリット
白ナンバーのデメリットは、再三述べたとおり運送業が営めないということです。顧客からの信用は緑ナンバーに比べれば劣りますし、営業規模も限定されることになります。
白ナンバーを取得する方法は?流れ・費用を紹介
先程の表では、
- 自家用かつ普通車以上・・・白ナンバー
- 自家用の軽自動車・・・黄色ナンバー
ということでしたよね。しかし実は、軽自動車でも白ナンバーを取得することができます。方法は全部で3種類。
まず一つめは、東京オリンピック・パラリンピックを記念する特別仕様のナンバー、通称オリンピックナンバーを取得する方法です。
- Webサイトから申し込み
- 交付料金の振り込み
- Webサイトの照会メニューから進捗状況を確認(最低でも10日かかります)
- 交付
上記の流れでオリンピックナンバーを取得できます。交付料金を知りたい場合は最寄りの運輸局にお問い合わせいただくのが確実ですが、参考までに東京の例を出しておくと、税込7,210円です。
オリンピックナンバー取得の申込みには期限があり、2020年9月30日までと定められているため注意してください。
二つめの方法は、ラグビーナンバーの取得です。2019年ラグビーワールドカップの開催を記念したナンバープレートですね。
取得方法は基本的にオリンピックナンバーと同様です。国交省の専用Webサイトか、ディラーもしくは整備工場に別途料金を払って依頼してください。
なお、交付費用は東京の場合7,000円。2020年1月で交付終了となりますので、ご希望の方はお早めに。
最後に、三つめの方法。ご当地ナンバーの取得です。地方自治体の専用Webサイトから申込みできますので、興味のある方は自分の住んでいる自治体で図柄入りナンバーを発行しているかどうか調べてみてください。
白ナンバートラックで請負の仕事をすることはできる?
先の項目で「白ナンバーでも請負の形であれば荷物を運搬できる」旨を述べましたが、これは民法632条の規定を根拠としています。
民法632条には、
「請負は、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる」
とあるのです。
このとき「運賃」という形で報酬を得るのではなく、あくまでも「仕事の完成」が目的になっていることがポイントですね。
白ナンバーでこんなことをすると捕まります
白ナンバーでも営利目的の運送がまったくできないわけではありません。
- 貨物自動車運送事業法に定められた一般貨物自動車運送事業の許可
- 特定貨物自動車運送事業の許可
を得ることができれば、白ナンバートラックであっても運送の仕事を行うことができます。逆に言えば、それらの許可なしに営利目的の運送をしてしまうと違法となります。
まとめ
皆さん、いかがでしたか?白ナンバーでできる仕事の範囲は法律によって厳格に制限されています。
何も考えずに業務を受託していると、知らず知らずのうちに違法行為に手を染めていた……という自体に陥りかねませんので、正しい知識をもって行うようにしてください。