バキュームカーの構造/仕組みとは?気になる臭い対策についても紹介!
私たちの生活に欠かせない存在のバキュームカー。
ドライバーの仕事の中でも実入りが良い部類と言われているため就職や転職を検討している方も少なくないと思われますが、そのためにはバキュームカーの構造や仕組みについて知っておくことが望ましいですよね。
そこで今回は、バキュームカーの概要や臭い対策の仕組みについて解説していきます。
バキュームカーってどんな車?
バキュームカーという名前はあくまでも通称。公式には吸上車と呼称されており、吸引器とタンクを備えた自動車のことと定義されています。いわゆる特殊用途自動車、8ナンバーのひとつですね。
一般にバキュームカーという場合、屎尿運搬用の車両を指すことがほとんどでしょう。簡易水洗便所や汲み取り式便所、列車便所などでの糞尿や、浄化槽に貯まった汚泥の回収を行う車です。
衛生車、糞尿収集車、汲み取り車、屎尿収集車といった別名もあります。汲み取り地域には中継タンクがあり、最終処理を行うのは衛生センターの役割となっています。
バキュームカーの収集先は?
現代の都市では下水道が整備され、水洗式のトイレが一般的になったこともあって、バキュームカーの活躍する場所は年々減少していると思われがちです。
実際、その認識はあながち間違いではないでしょう。しかし、町村部はその限りではありません。
また都市においても、起伏などの地形的制約によって下水道を敷設できず、汲み取り式や簡易水洗式のトイレを設置せざるを得ない場所も存在します。
そのようなところは現在でもバキュームカーの収集先となり得るのです。
バキュームカーの構造と仕組みについて
バキュームカーの役割が理解できたところで、今度はバキュームカーそのものの構造について見ていきましょう。
吸引ホース
糞尿や汚泥を吸引するための通り道となるホースです。吸引ホースはタンク下部に設置された吸引バルブへと接続されています。
吸引機で内圧を低下させ、その最中にバルブを解放することによって吸引が始まるというシステムです。
運搬用タンク
吸引した糞尿や汚泥を溜めておくためのタンクです。先述のとおり、この運搬用タンク内を負圧にすることによって吸引力を生み出します。
PTO式
PTOとは「パワーテイクオフ」の略。トラックが走行するためのエンジンの動力を架装の動力として伝えるためのシステムです。
PTOにはトランスミッションPTO、フライホイールPTO、フルパワーPTOといくつかのバリエーションがあり、それぞれ動力の伝え方が違います。
このうちバキュームカーに採用されていることが多いのはトランスミッションPTOという仕組みです。
トランスミッションPTOは停車時に使用されるシステムで、PTOスイッチによってONとOFFとを切り替えて使用することができます。
トランスミッションの横に動力取出しフランジとPTOシャフトが取りつけられていて、そこから動力を取り出して架装へと伝えます。
バキュームカーの臭い対策は?
ところで、バキュームカーと聞いて悪臭を連想してしまっていないでしょうか。運搬するものの性質上、どうしてもそのようなイメージがつきまとうのは仕方のないことかもしれません。
しかし、バキュームカーも時代とともに進歩しています。現代のバキュームカーには臭い対策が施されていて、外部に臭いが漏れることはありません。
燃焼式消臭器
バキュームカーには車載の脱臭機が備え付けられています。脱臭機のメカニズムにはいくつかのバリエーションがあるのですが、代表的なものの一つが燃焼式消臭器。
読んで字のごとく、悪臭の成分を高温で燃やしてしまうことによってほぼ無臭の状態まで持っていくという仕組みです。
消臭効果が高い一方で、燃料を使用するためにランニングコストがかかるというデメリットもあります。
潤滑油
オイルによって悪臭を良い香りに変えてしまうという画期的な製品も販売されており、現在バキュームカーへの導入が進められています。
ここで使われるオイルからは糞便臭に含まれる成分があらかじめ除去されており、そこに汚物が加わることで、化学反応が起こって悪臭が良い香りに変わるという仕組み。
なお、オイルはバキュームカーの真空ポンプ用の潤滑油に混ぜて使われます。こうすることで真空ポンプと配管を通してオイルがバキュームカー内を循環し、不快な臭いを取り除いてくれるわけです。
まだまだ活躍するバキュームカー
先述のとおり、近年では都市部など下水道が普及しているため、バキュームカーを見かける機会も減ってきています。
しかし、地方の町村部や山間部にはまだまだ下水道が整っていない場所も残っています。
特に地形的要因によって下水道を設置できないところでは、周辺の発展とは無関係に汲み取り式トイレを使わざるを得ないのですから、今後においてもバキュームカーの需要がなくならないと考えられます。
まとめ
バキュームカーは人々の生活に密着した存在であり、地域の衛生環境を支える「はたらく車」であると言えます。
ここまで見てきたとおり、バキュームカーを必要としている地域は依然として存在します。
また便所だけではなく、浄化槽も詰まりを防ぐために定期的な汲み取りを行う必要があるため、やはりバキュームカーの出番はなくなりません。
ドライバー職の中では好待遇で迎えられる仕事でもありますので、興味がある方はぜひ検討してみてはいかがでしょうか。