トラックを運転する場合の心構え - プロドライバーの使命・心得とは?
トラックドライバーはプロのドライバーであり社会的責任の重い職業です。そんな、これからトラックドライバーを目指す人に向けての心構えと注意点をまとめてみました。
これからプロのドライバーになりたいと思っている人に読んでもらえれば幸いです!
トラックを運転する場合の心構え
トラックドライバーはプロフェッショナル
トラックドライバーは荷主から運賃をもらって荷物を運ぶプロのドライバーです。現在の国内貨物はなんと91%をトラック輸送が担っています。まさにトラックドライバーは日本の物流を支える主役なのです。
トラックドライバーは水や電気、ガスと同じライフラインを支えるとても重要な仕事で、それだけに安全や運転マナーなどには大きな責任を負っているといえます。
事故の被害は深刻
車体が大きいトラックは大型車になればなるほど事故率も増え、他の仕事より安全への配慮が求められます。一旦事故が起きれば被害も大きく、その影響は深刻なものになります。
事故にあった被害者はもちろんの事、会社や取引先、家族など、さまざまな人に迷惑がかかり、事故の内容によっては職を失う事になりかねません。
冊子・トラックドライバーとしての心構え
トラックドライバーとしての心構えとは
全日本トラック協会より全国のトラックドライバーに向けて「トラックドライバーとしての心構え」という冊子が発行されています。*ネットでも閲覧可能
この冊子は物流の主役であるトラックドライバーとしての役割や責任、運転マナーなど、真のプロドライバーとしてあるべき心構えをとりまとめたものになっています。
これからトラックドライバーを目指す人に是非読んでもらいたい冊子になります。
3つのポイント
この冊子にはトラックの輸送に従事している人に向けて、
- トラックドライバーとしての心得
- トラックドライバーの遵守事項
- 体調と運転の3つのポイント
を基本に構成されています。その内容はとてもわかりやすく、端的に要点がまとめられています。
ここからは、この冊子・「トラックドライバーとしての心構え」の中身をわかりやすく紹介していきながらトラックドライバーとしての心構えや使命についても解説していこうと思います。
トラックドライバーとしての心得
トラックドライバーとしての使命
事業用トラックはトラック全体(約878万台)のうち約16%(約140万台)を占めていて、貨物輸送の主流を担っています。
そして物流は電気・ガス・水道などと同じライフラインの一つといわれていて、円滑な物流が人や日本経済の大きな基盤になっている事を考えればプロドライバーが、まさに日本の経済を支えているといえます。
そういった事からプロドライバーは日本経済を支えるプロドライバーとしての誇りを持つとともに、貨物を安全・確実・迅速に輸送するという役割と使命を担っている事をしっかり認識する必要があります。
安全運転と環境配慮
トラック事故が発生すると運送業界全体のイメージ低下につながり、危険な業種というレッテルを貼られてしまいます。
またトラック輸送が日本経済の大きな基盤になっている一方で、排出ガスによる大気汚染や地球温暖化などの環境問題も発生しています。
交通事故は、会社にもドライバー自身にも大きな損失やさまざまな不幸を招く事を認識し、事故を起こしてはならないという強い信念をもつ必要があります。
そういった意味ではエコドライブは、
- 環境保全
- 交通事故の防止
- 運行経費の節減
- 資源の節減
などさまざまな効果をもたらすと同時に、運送業界のイメージ向上にもつながりますので是非実践していきたい部分になります。
顧客から望まれていること
顧客から望まれている要望を多い順にあげていくと次のような内容になっています。
- 積荷の丁寧な扱い 58.5%
- 集配時間の厳守 44.1%
- 集配時の服装、身なり 19.3%
- 集配時の言葉遣いや態度 17.4%
積荷の丁寧な取り扱いが圧倒的に多い回答になっています。また
- 服装や身なり
- 言葉遣いや態度等
- 身だしなみ
- 接客マナー
なども重要視されている事がお分かり頂けると思います。
運転マナーと接遇マナー
マナーの悪い運転は業界のイメージダウンにつながってしまいます。プロドライバーであるからこそ、他者の手本となるべき安全でマナーの良い運転を心がけなければなりません。
またトラックは会社や商品名などの看板を背負った、走る広告塔の役割も果たしています。接遇マナーが悪ければ顧客の満足を得ることができません。ドライバーは会社の顔であり、荷主の代理人でもあります。
そういった意味で、多くの人の目に触れるという自覚を持って他者や顧客へのマナーや気遣い、不安感を与えない対応といった社会的義務と行動が求められているといえます。
トラックドライバーの遵守事項
乗務前後の点呼
トラックドライバーは乗務前後の点呼が遵守事項として義務付けられています。乗務の開始前と終了後に必ず点呼を受けて報告事項を正確に点呼執行者に伝える必要があります。
乗務開始前の点呼
- 疾病、疲労その他の理由により安全な運転ができないおそれの有無の申告をする
- 運行前の点検の実施又はその確認を行う
乗務終了後の点呼
- 乗務に係る自動車や道路状況の通告をする
- 他の運転者と交替した場合には、それまでの自動車や道路状況の通告をする
運行途中での中間点呼
- 疾病、疲労その他の理由により、安全な運転ができないおそれの有無を申告する。
乗務等の記録
ドライバーは乗務のつど、氏名や自動車のナンバー、乗務の開始や終了の地点や場所などについて記録(日報)をしなければなりません。
主な記載事項になります。
- 氏名
- 自動車のナンバー
- 乗務開始や終了地点と日時
- 主な経過地点
- 乗務距離
- 運転交代地点と日時
- 休憩や睡眠をした地点と日時
- 大型車の場合は貨物の積載状況
- 事故、著しい運行の遅延等の有無とその概要・原因
- 運行途中に、運行指示書の携行が必要な乗務を行なう事になった場合には、その指示内容
日常点検の励行
安全な運行と確実な輸送を行うためには車両が万全な状態にあることが基本になります。そのためには運行前の日常点検は欠かせません。
もしそれを怠れば、車両故障ばかりではなく、それが原因による事故の発生や火災による車両や積荷の消失を招く事もあります。この事をしっかり認識し運行開始前の日常点検は必ず実施するようにしましょう。
その日常点検ですが、効率の良い方法で行えば決して面倒なものではありません。冊子、「トラックドライバーとしての心構え」には点検の順序も記載されていますので、順序よくできるようにしましょう。
交通ルールの遵守
信頼性の原則は基礎の交通ルール
- 信号が赤になれば停止する。左の合図を出せば左折または左への進路変更をする。そういった信頼があるからこそ、安全で円滑な走行が可能になります。
- 交通ルールを守ることは、自分の安全を守る事になります。
交通ルールは最小限の規則
道路を安全・円滑に通行するための最小限の規則が交通ルールです。これを守る事は事故を起こさず安全な運転をするための基本になります。
交通ルールを守るのがプロドライバー
プロドライバーは交通ルールを正確に理解して率先してルールを守った運転をしなければなりません。
体調と運転
健康保持
冊子・トラックドライバーとしての心構えには、ドライバーにとって重要な健康保持について列挙されています。
- 認知、判断、行動などがすべてドライバー一人に委ねられる。(単独作業)
- 走行中は気を休めることができず、たとえ難しい状況下にあっても継続して対処することが必要になる。(連続作業)
- とっさの判断が必要となる場面や緊急時など冷静かつ適切な判断をする必要がある。(即時対応が必要)
- 運転中は常に運転席に座り、消費カロリーが少ない作業が多い反面、姿勢を変える事ができない状態が続く。(定姿勢作業)
健康診断・運転適性診断の受診
健康診断の受診
プロドライバーにとって、健康状態を健全に保持する事は大切なことですが、本人が知らないうちに不調になっていくケースもあります。
これを予防するために、普段から健康に関心を持って、定期的に健康診断や健康相談などを受けると同時にその結果を参考に健康に留意する事が重要になります。
運転適性診断の受診
運転はその人の人柄が表れるといわれています。運転適性診断を受けて診断結果を活用する事が大切になります。また、心身機能は年齢とともに低下するものです。運転適性診断は3年に1度は受診するようにしましょう。
疲労について
疲労が運転に与える影響について列挙します。
- 意識水準が低下し漫然とした状態となり、注意力や判断力が低下して見落とし、見誤りが増える。
- ハンドルやブレーキ操作などが雑になり、正確さに欠けるようになります。また、反応も鈍くなり動作が遅れがちになります。
- 疲れると意識がぼんやりとして眠くなる。
- イライラしたり怒りっぽくなり、運転が荒っぽくなる。
以上の事を防止するためにも、早めの休憩を心がけて、長時間の運行(4時間以上の連続運転)は避けるようにして、無謀な運転はしないようにしましょう。
飲酒運転について
プロドライバーの飲酒運転は絶対にあってはならないことです。万一事故を起こせば運転免許の取り消しはもちろん懲役などの重い処分を受ける事になります。
また、会社にも大きな責任がかかり、運送事業の継続が困難な状況になってしまう可能性もあることを認識する必要があります。
安全教育は会社の義務
運送会社は従業員への教育義務が課せられています。研修や安全講習などで上記冊子や類似の内容の本、DVD等に触れた事のあるドライバーも多くいるかもしれません。
トラックドライバーには安全運転を心がける義務があり、運送会社にはドライバーを教育する義務と責任があるという事になります。
まとめ
ここまではトラックを運転する場合の心構え、プロドライバーの使命、心得を冊子、「トラックドライバーとしての心構え」の一部を紹介する形で解説してきました。
トラックドライバーがいかに責任のある仕事であるかお分かり頂けたのではないでしょうか。トラックドライバーの仕事は責任も大きいですが、やり甲斐も大きく、楽しい仕事でもあります。
この記事を読んで頂きトラックドライバーを目指そうという人が少しでも増えてくれれば幸いです。