玉掛けの方法/種類を解説!事故の原因にもなるので要注意
玉掛けは正しく行わないと吊り荷が落下したり、人や物に衝突したりして大きな事故につながることがあります。そのため慎重に適切な方法で玉掛けを行う必要があります。
そこでここでは、玉掛けの方法や安全に玉掛けを行うポイントなどについて紹介していきます。
玉掛けが原因の災害は多い!
玉掛けの作業は運送業界、製造業界、建設業界などで幅広く行われている作業です。大きな荷物、重い荷物を扱うことになるために扱い方を間違えると大規模な事故になりやすいという特徴もあります。
ここ数年のクレーンや移動式クレーンに関係している死亡災害を見ていくと、不適切な玉掛けが原因と考えられる災害による死亡者が毎年50人程度出ているということがわかります。
内容として多いのは
- 「玉掛け方法が不適切であったために吊り荷が落下した」
- 「劣化もしくは損傷している部品を使用していて事故が起きた」
というものです。
- 吊り具の故障
- 吊りワイヤーの断裂
- 吊り荷の落下
という事故が起きているのです。どちらも玉掛けの安全意識が欠けていることが原因だと言えます。まずは基本的な安全確認、慎重な作業が必要なのです。
安全な玉掛け作業のためのポイント
玉掛けを行う際には事業者が玉掛け作業責任者や関係労働者を集めて打ち合わせを行います。その際にそれぞれに対して指示を行います。
- 玉掛け作業者
吊り荷の種類、形状、質量、数量を伝達する - 運搬経路、作業範囲
経路に障害物がないかどうかを確認 - 労働者について
玉掛け作業者の位置、合図者の位置、運搬時の退避位置、作業範囲内で作業を行っているものの位置と時間などについて確認を行います。
玉掛け用具の確認
まず玉掛け作業者は吊り具などの種類や数量、損傷がないかなどを確認した上で必要があれば変更、交換を行うことになります。
特に玉掛け用具は経年劣化することがあり、劣化による故障がないかどうかも細かく調べる必要があります。
吊り荷の確認
次に吊り荷を確認します。その吊り荷の質量や形状、数量などが事業者から指示されたものであるかどうかを確認し、用意されている玉掛け用具で作業を行うことができるかどうかを確認します。
必要な場合は玉掛け用具の変更や交換を行います。
吊り荷にあった玉掛け方法で吊る
実際に玉掛けを行う前にクレーンなどの据え付け状況や運搬経路を含む作業範囲内の状況と安全を確認します。必要であれば障害物を先に除去するといった措置を行っていきます。
そして玉掛けの方法を選定していきます。その際の共通事項として以下のようなことを守らなければいけません。
- 玉掛用具の選定に当たっては、必要な安全係数を確保するか又は定められた使用荷重などの範囲内で使用すること。
- つり角度は、原則として90度以内であること。
重心を見誤らない
玉掛けを行う際は吊り荷の重心を見極めて、その吊り荷の形状や質量に合った方法を選定して行います。そのうえで玉掛けを行い、安全な位置に退避した上で合図者に合図を行います。
また、地切り時に吊り荷の状況を確認し、必要な場合は一度着地させて玉掛けをやり直すという措置をしなければいけません。
基本的な玉掛け方法を紹介!
クレーン側のフックにかける方法
クレーン側のフックにワイヤーをかけていきます。アイボルト型のシャックルを通しに使用する場合はワイヤーロープのアイの部分にシャックルのアイボルトを通すようにしてかけていきます。
その際、フックの上部や側面にワイヤーロープが重なったりしないように注意しましょう。
吊り荷への玉掛け方法
目掛け
目掛けとは吊り荷に付いている吊り金具などに玉掛け用具のアイをかける方法です。
吊り荷に吊り金具がついていれば簡単にかけることができますし、比較的形状バランスが良い吊り荷に多く使われる方法だと言えます。
玉掛け用具が緩んでしまうと吊り荷から外れてしまうことがあるので注意が必要です。また、吊り金具がついている吊り荷であっても、荷物の中身が偏っていたりすると重心がずれて傾いてしまうことがあります。
半掛け
玉掛け用具を荷物の下に回して掛ける方法です。重心が安定している荷物を吊る際に行いやすい方法です。
ただ、吊っている際に大きく揺れたり接触したりすると玉掛け用ワイヤーロープの掛けた位置がずれてしまい荷物が落下してしまう可能性があります。
また、吊り角度が大きくなりすぎると玉掛け用具が引き寄せられてしまって滑りやすくなります。それを防ぐためには当て物などを使用して玉掛け用具がずれないようにしておく必要があります。
絞り掛け
絞り掛け(目通しかけ)は玉掛け用具で吊り荷を目通しで絞る方法です。吊り荷が絞り込まれることによって摩擦が発生し、吊り荷と玉掛け用具の滑りを防止することができます。
深絞りを行う場合は玉掛け用具の絞り部分に強い張力がかかるために、強度が下がってしまったり変形したりしてしまうことがあります。変形してしまったものなどは故障の原因にもなりますし寿命も短くなりますので注意が必要です。
吊り荷に角がある場合はワイヤーロープの加工部分が角に当たらないようにしなければいけません。シャックルを使用する場合は絞り側にボルトがこないように方向に気をつけましょう。
適切な玉掛けが命を守る
運送業界や建設業界で玉掛けは非常に多く使用されるものです。それだけに普段からの用具の点検や安全で正確な作業が求められています。
毎年玉掛けに関連した事故が多発しているのはそのほとんどが用具の劣化に気づかずに使用していたことや、適切な玉掛けを行っていなかったことが原因となっています。
特に玉掛けの方法については安全よりも早さを優先させて「一本吊り」などを行っていると事故は多発します。
吊り荷が不安定になり、揺れやすく人や物にも接触したり、吊り荷が落下したりすることにつながります。一本吊りは原則禁止だと考えておきましょう。
適切な玉掛けは周囲の人たちの命を守り、積み荷を傷つけない重要なものです。安全を優先して作業を行うことを心掛けましょう。
まとめ
玉掛けは色々な用具を使って行い、吊り荷にあった方法で吊るということが重要です。適切な方法で安全に作業を行いましょう。