タンクローリーの積み込み荷降ろし手順を紹介!手順を守る事が安全につながります
私たちの生活に欠かせないガソリンなどを運ぶタンクローリーの荷卸しは、どのようにして行われているのでしょうか。
危険物を扱う仕事であるためにタンクローリーの積み込みや荷降ろしには、守らなければならない手順があります。
そこで今回は、タンクローリーの積み下ろしの手順についてご紹介していきたいと思います。
一つのミスが重大事故に…
タンクローリーのイメージというと、ガソリンなどの危険物を運ぶタンクローリーを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。その認識はとても的を得ていますし、実際に街に多く走っています。
そういった事から危険物のタンクローリーの仕事は運転手なら誰もが憧れる花形の職業となっています。その一方でこういった危険物を運ぶタンクローリーがひとたび事故を起こせば大参事になってしまいます。
例えば道路上で事故を起こして積載していたガソリンが漏れて引火してしまえば、たちまちその周辺は火の海になってしまうでしょう。
そういった事からタンクローリーの仕事は、
- 繊細さ
- 慎重さ
- 高い安全意識
- ルールの遵守意識
が求められる責任の大きな仕事なのです。
タンクローリーの積み込み手順
ここでは簡単にタンクローリーの積み込み手順を紹介します。
1.製油所に到着します。
2.会社から受けたオーダーを確認します。(例)オーダー:RG10K、HG2K、GO4K、KE8K(24K車の場合)
3.オーダーを元に製油所のコンピューター、ICカードを使いハッチ割を登録します。(タンクローリーには4〜8マスの部屋があって、そのマスに何を積むかを設定します。これをハッチ割と言います。
4.積み場に移動します。ベイと呼ばれる積み込みレーンに停車します。
5.停車後、輪止めや各安全具の取り付けなど、必要な処置を行います。
6.レーンに設置されたコンピューターに向かいICカードをかざす。ハッチ割の確認もここで行います。
7.ハーネスを設備につなぎます。
8.シャッターコックを閉めます。
9.各ハッチの底辺バルブが閉まっている事を再確認しハッチのマンホールを開けます。
10.ハッチ割をした通りに油種クリップを底辺バルブにつけます。
11.パージ用のローディングアームで気体回収をします。
12.積み込みを開始します。
13.最終確認をして周辺確認後、発車します。
タンクローリーの荷降ろし手順
ガソリンスタンドに到着進入する。
ガソリンスタンドは狭い場所もありますので、どうやって進入するかポイントを確認しておきましょう。例えば道路からバックで進入するのか、頭から進入するか等。
荷降ろし場所へ
- 集中ボックスや落とし口のマンホールはどこにあるのか
- 右降ろし、左降ろし、後方降ろしの、どの降ろし方になるのか
を確認します。
荷降ろし前の確認
集中ボックス前に停車したら、輪止めをして、ガソリンスタンドの担当者に以下の内容を確認します。
- 何番タンクに何を、何K(キロリットル)納入するのか確認
- 納入タンクの前尺を確認
荷降ろしチェックシート
荷降ろしする時に間違いがあると大変な事になってしまいます。間違えのないようにチェックシートで確認しながら確実に荷降ろしを行います。
荷降ろしが終わったら、残油確認をしてもらい、後尺を聞きに行きチェックシートに記載して完了といった流れになります。
タンクローリーに多い事故は?
横転事故
危険物タンクローリーはトレーラータイプのトラックが多く、過去には数多くの横転事故が報告されています。トレーラーはその構造上、急ハンドルや急ブレーキで車体のバランスを崩しやすく、横転事故などの重大事故のリスクが高くなります。
危険物タンクローリーはその積載物がガソリンや毒物であるため、横転事故を起こす事で、その他の2次災害を引き起こす恐れもあります。
火災事故
危険物を運ぶタンクローリはガソリンなど引火しやすい液体を積んでいます。こういった車両が追突事故や衝突事故、また、横転事故を起こしてしまえば、積載されている荷物が漏洩してしまう可能性は非常に高いでしょう。
そうなれば揮発性が高いガソリンなどは少しのきっかけで引火してしまう恐れがあるので爆発事故や火災事故を誘発する可能性は高いと言えるでしょう。
漏洩事故
タンクローリーが事故を起こしてしまうと、その積載物が漏洩する可能性が高く、漏洩事故を起こした後の処理も大変手間がかかる事になってしまいます。
ガソリンや劇物などが河川や湖に流れてしまった場合、飲み水などに大変な影響が出たり、生態系に深刻な影響が出る事になってしまいます。
そうした事態になった場合はオイルフェンスや吸着マットを使って除去作業を行い被害を最小限に抑えなければなりません。
タンクローリーの構造について
仕切板
タンクローリーのタンクは実はいくつもの小部屋のように間仕切りがされていて、一室が4,000L以下になるように作られています。その間仕切りに使用されている板の事を仕切板と言い、これによりタンク内部を独立した小部屋に仕切る事ができます。
なぜこのような構造になっているかというと、30tにもなる液体を一つのタンクに載せた状態だと発進、停車時にタンク内部で流動体が激しく動いてしまうのを防ぐためなのと、仕切板で部屋が別れているため、軽油やガソリンなど一つのタンクローリーに異なる液体を混載する事が可能になるためです。
防波板
タンクローリー は一室が4,000L以下になるように間仕切りがされている事は先述しましたが、その4,000L以下に抑えられた一室内の揺れを抑えるために設置されているものが、防波板です。
防護枠
タンクローリーの上部にはマンホールなどの付属装置が設置されています。この付属装置を保護するために付属装置の周囲を囲む枠を設けることが義務付けられています。これを防護枠と言います。
この防護枠は仮にマンホールから危険物が溢れ出しても下に流れ落ちないようにするための溢流防止としての役割も持っています
側面枠
万が一の事故などで、タンクが横転したとしても、完全に逆さまにならないようにタンク側面には突起物が設けられています。この突起物のことを側面枠と言います。
混油させないためには作業手順の遵守が大切!
ガソリンや劇物などの危険物はる運搬中に事故を起こすと大参事になりかねない事は先述しましたが、納品時に違う燃料を混油させてしまう事も大変な事態を引き起こしてしまいます。
実際にあった話ですが、ガソリンスタンドに納品する際、灯油のタンクに間違えてガソリンを給油してしまった場合などです。
そのまま気づかずに販売してしまい、お客さんが灯油ストーブにガソリンを給油してしまえば火災の原因になってしまいます。
また、早い段階で気がついたとしても、タンクを空にして清掃をしなければならず大変なコストがかかってしまいます。
そういった事が起こらないためにも作業手順を遵守して、絶対に手を抜かない事が大切になります。
まとめ
タンクローリーの仕事は危険物を扱う場合もあり大きな責任を伴う仕事です。手を抜いたり手順を怠れば、事故やミスのリスクは高くなり、万が一事故を起こせば大きな災害に発展す。
しかし、決められたルールや手順をしっかり守っていれば、そのリスクは最小限に抑える事ができるし、事故やミスも未然に防ぐ事ができるでしょう。
タンクローリーの仕事は人々のインフラを支える大変やりがいのある仕事です。何より安全第一に!お仕事がんばってください。