大型トラックの運賃表はどうやって作る?運賃を決める要素と原価の考え方

運送事業者は「標準貨物自動車運送約款」に従って運賃表を作成して届け出なければいけません。平成29年に大きな変更があり、それに従って運賃表も変更されています。

そこでここでは、大型トラックの運賃表作成の際に考えるべきポイントについて紹介していきたいと思います。

大型トラック運賃表

運送事業者は運賃表を作らなくてはならない

運送事業者は「標準貨物自動車運送約款」に従って運賃表を作成した上で届け出る必要があります。

この「標準貨物自動車運送約款」は国土交通省が定めている約款で、運送事業者はこの約款を守ることを原則として事業認可が与えられています。

そしてこの約款が平成29年に大きな改訂があったことで、運賃表もかなり変更がされました。

標準貨物自動車運送約款の改正ポイント

平成29年の改正のポイントは運賃に含まれていた作業料を別枠で記載しなければならなくなったことです。

トラックのドライバーは荷物を運搬するのがメインの仕事ですが、実際には荷受け場で積み降ろしを手伝ったり、ラベル貼りをさせられるということも多くありました。

また、長い待機時間があっても、その時間については無視されることがありました。

こうしたメインの運搬以外の項目については別枠で記載して、別料金を発生させるということを明記したのです。

大型トラックの運賃を決める要素5つ

荷物の重さ

昔から運賃は「トンキロ」で決まるとされてきました。「トン」とは重量のことで、「キロ」は距離のことです。

その一つである「荷物の重さ」は運賃を決める重要な要素です。

基本的には重くなればなるほど運賃も高くなります。そのため、小型よりも中型、中型よりも大型トラックを使う方が運賃は高くなります。

距離

こちらも「トンキロ」の一つの条件です。運ぶ距離が遠くなればなるほど運賃は高くなります。

都道府県を跨いだり、直線距離が遠い、拠点から遠い山間部、離島などになるほど運賃は高くなります。

特に陸路だけでなく、空路や海路を使わなければ運べないような場所になると運賃は高くなることとなります。

時間

時間には二つの概念があります。

一つは「運搬にかかる時間」で、運ぶのに時間がかかるほど高くなります。距離が遠い、交通網が整備されていないといった条件で時間が多くかかると運賃が上がります。

もう一つは「時間帯」です。急ぎの運送であったり、深夜帯や早朝、時間指定などの条件によって運賃が上がることとなります。特に「急ぎ」という条件をつけると運賃はかなり上がります。

地域ごとの特徴・条件

運送会社によって得意なエリア、得意な販路を持っている場合があります。大都市同士を結ぶ拠点や営業所を持っている場合は距離の割に運賃が安くなることもあります。

これはそちらに一緒に運ぶ荷物が多いという理由や、運んだ帰りにも別に荷物を積んで帰ってこれるというメリットがあるからです。逆に拠点がない、販路がない場所へ荷物を運ぶ場合には運賃が高くなる場合があります。

どのエリアに強いか、どの方面への運送に強いかを調べておくと効率よく運送会社を利用することができます。

原価

トラックを走らせるにはさまざまな費用がかかってくることとなります。

そのトラックを走らせるのにどれだけのお金がかかるかということが運賃に影響してくることとなります。細かくは次で説明をします。

大型トラックの運賃を決める原価5つ

車両費


まずトラックの車両費です。大型トラックなどは車両自体がかなり高額になります。

車両の購入費やリース代、重量税、自動車税などの税金などがかかってきます。運送会社はそういった車両費も運賃に含めていくことになるのです。

運行費

トラックを運行させるには燃料費(軽油代)、油脂費(エンジンオイルなど、整備に使う油脂類)のように走らせるのに直接かかってくる燃料などの費用があります。

特に燃料費は長距離トラックなどではかなりの負担となってきます。特に近年は燃油費は上昇傾向にあります。燃料代が値上げされれば、それだけ運賃にも影響してくることとなります。

また、トラックは定期的に車検に出さなければなりませんし、整備費、修理費、部品の交換費用などもかかってくることになります。大型トラックの部品は部品も大きいために高額なものが多く、これも考慮しなければいけません。

人件費

トラックを運行するには、まずトラックを運転するドライバーの人件費がかかってきます。もちろん事業所の事務員や運行管理者、整備スタッフなどの人件費も考えなければいけません。

ドライバーを早朝や深夜帯に働かせる場合は別の手当なども発生してくることになります。

保険料

トラックは他人の荷物を預かって運搬することとなります。そのため何かトラブルがあって荷物が破損した場合は損害賠償を求められることとなります。

高額な商品を運んでいた場合などはその額は払いきれないほどの額になることもあります。そのため、運送会社は保険に入ることでそのリスクを下げることになります。

また、トラック自体にも自賠責保険の他、任意保険をかけておく必要があります。トラック自体が高額なため、車両の修理費などが関係してくることもありますし、事故を起こした場合には補償が関係してくることもあります。

その他

トラックは走行している以外にも、保管費用などがかかってきます。駐車費用や保有していることに関してかかってくる管理費なども重要となります。

標準タリフとは

トラック標準運賃案

2018年12月4日公布の貨物自動車運送事業法改正があった際に「国土交通大臣が標準的な運賃を定め、告示できる」という内容が定められました(令和5年度末までの時限措置)。

そしてこの告示は、公布日から起算して2年を超えない範囲において政令で定める日とされているので、2020年12月4日までを期限として告示されることになります。

これが出された背景としては運賃の価格競争が行われたことで、それだけ利益が薄くなり、そのしわ寄せがドライバーに来ることで労働環境が悪くなっているという実状があったことが関係しています。

トラック標準運賃案はこうして出されたものですが、実際に設定されている運賃よりもかなり高く設定されているためにこれが実際にできるかどうかが問題となっています。

全体的に実勢の1.2~1.4倍ほどの数値が目安として出されています。

大型トラック運賃表の例

では発表されている運賃表を見ていくと、

距離 北海道 東北 関東 北陸 中部 近畿 中国 四国 九州
10km 18610 18050 22540 18680 20790 20790 19220 18380 18430
30km 23550 22880 28120 23620 26070 26080 24240 23270 23320
50km 28480 27720 33710 28560 31350 31370 29270 28160 28210
80km 35870 34970 42090 35970 39270 39300 36800 35490 35540
100km 40800 39800 47670 40910 44550 44590 41830 40370 40430
130km 47960 46810 55830 48080 52250 52300 49130 47460 47520
150km 52730 51490 61270 52870 57390 57440 54000 52190 52260
200km 64660 63170 74880 64820 70230 70290 66180 64010 64090
200km以上20kmごと 4700 4600 5370 4710 5070 5070 4800 4650 4660

(単位:円)
となっています。

まとめ

平成29年に「標準貨物自動車運送約款」が改正されたことで運賃表も大幅に改訂がされました。

作業料が別枠で記されるようになったり、運賃の明確化がよりすすめられた形となっています。

こうしてドライバーに対しての目に見えない負担が軽減され、運賃がはっきりすることが業界全体で進められているのです。

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