トレーラーの運転にはセンスが必要?トレーラーを上手く乗りこなすためのコツ

トレーラーの運転と聞くと難しそうなイメージがありますよね。そのイメージは間違いではありません。

実際、数あるトラックの中でもトレーラーの運転は特に難しく、センスが要求されるでしょう。

今回はトレーラーを上手に乗りこなしたいと思っている方のために、トレーラーの運転に求められるセンスがどのようなものなのかについて説明していきます。

トレーラー運転手は不足している!

現在、運送業界は慢性的な人手不足の状態にあります。

就業者数そのものは横ばいなのですが、その内訳を見ると中途採用や高齢者の再雇用の割合が拡大しつつあり、若いドライバーのなり手がいなくなってきているのです。

少子化の影響ですね。そのような事情もあって、一度に多くの荷量を捌くべくトラックの大型化が進行しています。

ところがこれにも一つ問題があって、大型トラックやトレーラーとなると普通免許では運転ができず、人材を新しく確保することが難しいのです。

大型免許やけん引免許を取得している人材は貴重です。したがって、運送業界への就職や転職を検討している人にとっては、トレーラー運転手という道にチャンスが転がっている状況です。

なぜトレーラーの運転は難しいのか?

ところで、トレーラーの運転は普通車よりも難しいイメージがありますよね。

実際、トレーラーの運転感覚は普通車どころか大型トラックと比較しても異なります。どのような点が難しさの理由として挙げられるのか見ていきましょう。

運転方法の違い

トレーラ-は構造からして通常のトラックとは異なります。トラックはキャブと荷台が一体化していますが、トレーラーはそうではありません。

台車をトラクターで引っ張るという設計のため、運転方法も一般的なトラックとは違ってくるのです。

そもそも仕事でトレーラーを運転するのでもない限り、けん引の経験を積む機会自体があまりないはずです。

運転感覚に慣れるまでに時間がかかりがちであるという意味でも、トレーラーの運転は難易度が高いと言えます。

車両の長さと幅

車両そのもののサイズもドライバーを戸惑わせる一因です。トレーラーは普通のトラックと比べて車両が大きいのです。

たとえば、4トントラックであれば全長6,000mm~8,500mm、全幅2,200mm~2,500mmといったところでしょう。

10トントラックなら全長が12,000mm以内、全幅が2,500mm前後というサイズが一般的です。これに対して、フルトレーラーの連結車両は全長18,000mm以内。

幅は大型トラックとあまり変わらないのですが、長さがあることがわかりますね。ダブル連結トラックの場合はさらに長くなることを考えると、トレーラーの運転の難しさも察せられるというものです。

内輪差が大きい

車体が長いということは、それだけ内輪差が大きいことを意味します。内輪差とは、カーブを曲がる際、回転中心側の前輪が描く円弧と後輪が描く円弧との間に生じる半径の差のことです。

前輪と後輪が離れていればいるほど内輪差も大きくなるのですから、車体が大きければ内輪差も大きいというわけです。

トレーラーの内輪差は全トラック中で最も大きくなるため、感覚を掴むまでは右折や左折を難しく感じるでしょう。

バックが特に難しい

トレーラーの運転操作の中で特に難しいと言われているのが、後方へのバック。バックしながら曲がるのはもちろん、まっすぐに後ろに下がることも困難であると言われています。

これは、トレーラーの構造からくる避けられない事象です。トラクターと台車との間にカプラーがあるため、後ろに下がる力が連結部分を経由して横方向に逃げてしまうのです。

たとえドライバーがハンドルを切らなくても、路面の凹凸や台車の傾き、連結部の摩耗などにとってどうしても左右どちらかに曲がっていってしまいます。

トレーラーの運転に必要なセンスとは?

ここまで挙げてきたポイントを踏まえて、トレーラーの運転に必要となるセンスはどんなものかについて考えていきましょう。

車両感覚を把握するセンス

トレーラーをスムーズに運転しようとしたら、まずは車両感覚を把握しなければなりません。

死角はどこにあるのか、どのタイミングでハンドルを切り始めればうまく曲がれるのかといった感覚を掴むことが安全運転への第一歩です。

車両感覚を磨くには、横乗りの時期に助手席からよく周囲を確認しておくことをおすすめします。ミラーに映る範囲や目標物との距離に注目してみましょう。

イメージするセンス

トラックとの大きな違いとして、トレーラーには「折れ角」という概念がつきまとうことが挙げられます。

トレーラーが曲がるときは車体をくの字に折り曲げることになります。トラクター部分と台車部分との間に角度ができることになるわけですが、この角度のことを折れ角と呼びます。

折れ角ができるということは、大きな死角が生じることを意味します。そうなるとドライバーは見えない部分を想像しながら操作しなければならなくなるため、イメージするセンスを要求されます。

慎重に操作を行うセンス

トレーラーはけん引車両である関係上、慎重な操作を必要とします。

台車がどんな状態になっているかを逐一確認しながらハンドルやペダルを操作しなければならないため、運転中に慎重さを保つことが求められます。

安全に対してのセンス

先述のとおり、トレーラーは車体が大きいです。ということは車両総重量や最大積載量も相応に大きく、一度に取り扱う荷量が非常に多いことが予想されます。

これは、少しの油断や判断ミスが大事故につながるおそれがあるということでもあります。運転中の危険察知のセンスが要求されるでしょう。

気付くことのできるセンス

まわりの車両の動きがあらかじめわかっていれば、余裕をもってトレーラーの運転を行うことができます。

周囲に目を配り、リアルタイムでの状況の変化に気づくセンスがある人は、いち早くトレーラーの運転が上達するでしょう。

運転センスの違いはバックに現れる!

トレーラーを運転するセンスの有無は、その人がバックしているところを見ればわかります。

車両感覚が把握できていないとうまく目的の位置に車両を入れることができませんし、台車がどのような状態になっているかイメージできていないと必要以上に切り返してバックし直すはめになります。

また、慎重なアクセルワークができないとうまく車速を調整することができません。バック時は視界が制限されるため、事故が起こりやすい点にも注意が必要です。

不安があるときは一旦降車して目視確認する、ミラーだけに頼ることなく窓を全開にして顔を出して目視する、スピードを出しすぎないなど、基本をしっかり押さえて運転しましょう。

運転技術に関するセンスは最重要ではないが…

先に挙げた中でも重要なのは、安全運転を行うための危険察知のセンスや、慎重にハンドルやペダルを操作するセンスです。

その意味では、運転技術そのものは優先度が落ちると言えるかもしれません。しかし、いつまでも運転技術が未熟なままだと、そのこと自体が事故の原因になってしまうことも考えられます。

自分の運転に自信が持てないうちは、特に注意して業務を行う必要があるでしょう。

まとめ

皆さん、いかがでしたか?トレーラーはトラックとも運転感覚が違うため、普段車に乗り慣れている人であっても改めて車両の特性について深く知る必要があります。

運転に早く慣れるためにも、必要なセンスを磨くことを意識しておきましょう。

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