レッカー車の運転操作に必要な資格/免許とは?
車の急なトラブルなどで活躍するレッカー車ですが、運転するにはどのような免許が必要になるのでしょうか。
今回はレッカー車を使った仕事に興味があるという方のために、レッカー車の運転に必要な免許や資格について詳しく紹介していきます。
そもそもレッカー車って?
免許の話をする前に、まずは大前提となる「レッカー車」の定義について押さえておきましょう。
レッカー車とは、他の自動車の前輪もしくは後輪を吊り上げ、けん引するための機構を備えた特殊車両のことを指す用語です。
故障や交通事故などの原因によって自走不能に陥った車や、駐車違反をしている車などを移動させるときに使われます。
レッカー車にも様々なサイズや車種がありますが、基本的にはトラックと同様の分類方法で覚えておけば問題ありません。
つまり、小型、中型、大型の三種類です。小型レッカー車は普通自動車を、中型レッカー車は2トントラックから中型車を、大型レッカー車は大型トラックや大型バスをそれぞれけん引することができます。
レッカー車の装備について紹介!
レッカー車には、自動車をけん引するための特別な機構が備わっています。各部位について名称や機能を知っておき、レッカー車への理解を深めましょう。
レッカーブーム
棒状の構造物を有する作業機のことをブームと呼びます。レッカー車の主要装備品の一つですね。
レッカーブームの場合、後述するアンダーリフトと一体になっているインテグレートと、アンダーリフトから独立しているインデペンデントの2種類があります。
インテグレートは水平方向の回転ができない一方、インデペンデントならば回転式を選べるという違いがあります。
アンダーリフト
車両をしたから持ち上げるための部位です。被けん引車の下にアンダーリフトを潜り込ませ、持ち上げます。
ピボットアーム
被けん引車の車輪を固定するための部位をピボットアームと呼びます。車輪をピボットアームに乗せ、抱え込むことによって固定を行います。
クレーン
横転車両を起こしたり、車両を吊り上げたりするために使われる装置です。
ユニックと呼ばれる小型タイプや、クレーン専用キャビンのないレッカー車専用のものがあります。
このほか、トラッククレーンをベースにアンダーリフトを装着した形の車種も存在します。
また近年では車積載車にアンダーリフトを装着したタイプも登場しており、クレーンを装備しないタイプのレッカー車もあるなどバリエーションが増えています。
アウトリガー
車体横に張り出して接地させることで車体を安定させることができます。
レッカー車でクレーンを伸ばした際には重心位置が大きく移動するため、アウトリガーを展開することによって転倒を防ぐ必要があるのです。
ちなみに、アウトリガーを装備したクレーン車では、ほとんどの場合アウトリガーを展開しなければクレーン操作ができないつくりになっています。
アウトリガーを展開して初めて油圧がアーム部分にかかるようになるという、一種の安全装置です。
ウインチ
ドラムでロープを巻き取って張力を与え、けん引作業を行うための装置です。
ロープやワイヤーでけん引したり、車両を荷台に載せたりすることのできるローダータイプのレッカー車では、このウインチのはたらきによって車両を荷台へと引き上げます。
レッカー車の運転に必要な免許とは?
ここからは、レッカー車を運転するために必要な免許について紹介していきます。
普通免許
レッカー車も自動車の一種である以上、故障車のところまで運転していくためには運転免許を所持していなければなりません。
レッカー車のサイズは様々ですが、最低でも普通免許を取得していることは絶対になるわけですね。
もしレッカー車の仕事への就職や転職を考えているならば、あらかじめ対応する免許を取得しておくことをおすすめします。
中型・大型免許
先述のとおりレッカー車には小型、中型、大型の3つのサイズがあり、それぞれ異なる車種をけん引するのに使われます。もちろん小型レッカー車で大型車をけん引するようなことはできません。
大型トラックをけん引するためには大型レッカー車を運転する必要があるのですから、そのときには大型免許が必要になります。
どのサイズのレッカー車を運転することになるかは勤務する会社によって違います。中型免許や大型免許が必要になる場合もあることは念頭に置いておくべきでしょう。
けん引免許は必須免許ではない
よく勘違いされることですが、実はレッカー車を運転する際にけん引免許は必須とされません。
というのも、レッカー車でのけん引は法規上、けん引免許が必要となる「けん引自動車による重被けん引車のけん引」にあたらないからです。
他の自動車をロープやクレーンなどでけん引するときはけん引免許なしでもけん引可能とされていますが、レッカー車によるけん引もこれに該当するわけです。
ただし、それはあくまでも普通乗用車をけん引する場合です。自走しない被けん引車の車両総重量が750kgを超えているときは、けん引免許が必要とされます。
クレーンやウィンチの操作には資格が必要!
けん引免許が必ずしも必要でないとはいえ、仕事を行うためには別途必要になる資格もあります。どのような資格を取得しなければならないのでしょうか。
玉掛作業者
1t以上のクレーン、デリックや移動式クレーンなどにものを掛け外しする場合、玉掛作業者の資格が必要となります。
このため、レッカー作業の仕事に就くのであれば持っておきたい資格の一つと言えます。玉掛の資格は講習と技能講習を受けた後、修了試験を受けることで取得することができます。
合格率95%以上と決して難易度は高くないため、さほどのハードルとはならないでしょう。
移動式クレーン
移動式クレーン運転士免許とは、吊り上げ荷重5トン以上の移動式クレーンを運転する際に必要となる資格です。
ちなみに移動式クレーンの定義は「荷物を吊り上げて水平に運搬する装置を持っており、原動力を内蔵して不特定の場所に移動が可能なクレーン」というもの。
レッカー車はまさしくこの移動式クレーンの典型例と言えます。移動式クレーンの講習は満18歳以上であれば誰でも受講することができます。
巻き上げ機運転者
動力駆動の巻き上げ機を運転する際に必要となる資格で、レッカー車の場合はウインチを操作するときに必要とされます。
巻き上げ機運転者の特別教育は満18歳以上であれば誰でも受講することができます。
まとめ
レッカー車や被けん引車のサイズが大きいものでなければ、普通免許ひとつでもレッカー車を運転することが可能です。
ただし、レッカー作業を行うためには対応する資格が必要。いつどこで講習や試験が行われるのかをチェックしておきましょう。