4tトラックの過積載の基準/定義とは?過積載で起こる罰則や事故の危険性について解説
「4tトラック」というと、「4tまで荷物を積載できる」と思ってしまいがちですが実際には違っています。トラックに定められている規定値を超えて積載をすると過積載として罰則を受けることがあります。
まずは自分が運転するトラックの積載量を正しく把握することから始めましょう。ここでは4tトラックの過積載の基準や、過積載をした場合の罰則について紹介していきます。
過積載の定義ってなに?
過積載とは「道路運送車両法」に規定されているトラックの荷台部分に積載する量が最大積載量を超えていることを意味しています。もちろん法令違反となりますし、事故の原因となることも多くあります。
過積載は法律で罰せられる重大な罪
過積載状態にあるトラックを運転しているのはドライバーですから、罰則はドライバーが受けることが多いのですが、実際には事業主や荷主の指示で過積載になることが多いためにそれぞれに罰則が規定されています。
事業主に対する罰則
事業主が運転するドライバーに対して過積載での走行を指示していた場合は事業主が罰せられることになります。その基準は以下の5点となり1つでも当てはまると処分対象となります。
- 死傷者を出した事故を起こした場合
- 社会的影響力の大きい事故の場合
- 過積載が計画的であった場合
- 日常的に過労運転を繰り返していた場合
- ドライバーへの監督・指導を行わず速度違反が繰り返されていた場合
どれか1つに当てはまった場合は「運行管理者資格者証」を返納することが命じられて資格を取り消されてしまいます。
荷主に対する罰則
過積載の指示を行った荷主については、
- 再び過積載を行う可能性があると判断される・・・警察署長の名前で「再発防止命令」が出される
- 再発防止命令をさらに違反した場合は6ヶ月以下の懲役もしくは10万円いかの罰金
という罰則が発生します。
運転手に対する罰則
過積載を行ったドライバーについては過積載を行っている回数や過積載の割合によって罰則が変化します。
初めての過積載違反の場合は車両使用停止処分となります。再違反の場合は過積載の割合によって変わってきます。
- 過積載5割未満かつ3年で4回の指導の場合は定期報告義務の発生
- 過積載5~10割かつ3年で4回の指導の場合は事業の停止
- 上記以上の場合は事業許可の取り消し
となります。
過積載の罰則
点数や罰金についても過積載の割合によって変わります。
- 過積載5割未満・・・違反点数2点、反則金3万円
- 過積載5~10割・・・違反点数3点、反則金4万円
- 過積載10割以上・・・違反点数6点、6ヶ月以下の懲役もしくは10万円以下の罰金刑
しかし過積載の割合が大きく悪質と認められた場合は「即時告発」が行われるように2015年の法改正で定められました。即時告発を受けた場合は100万円以下の罰金刑になることがあります。
過積載はどうして危険なの?
制動距離が伸びてしまうから
過積載の状態だとブレーキをかけてから実際にブレーキが利いて車が停止する距離「制動距離」が延びてしまうことになります。
これは想定されている以上の重さが車にかかっているために「重いものほど止まりにくい」という法則が発生するからです。また、重い分だけ衝突してしまった場合はその衝撃が大きくなってしまいます。
ブレーキが利かなくなる可能性があるから
それぞれの車両には規定された重さに対応する部品が備え付けられています。過積載の場合はその規定量を超えているために加速や停止をするたびに
- エンジン
- アクセル
- ブレーキ
に負担が大きくかかることになります。特に止まるために必要以上に力がかかるブレーキは故障しやすくなり、重要なときにブレーキが利かないということにもなりかねません。
車体が横転する危険性があるから
過積載しているトラックはバランスが悪い状態になっています。加速時、停止時、カーブの際には車体が揺れたり傾いたりすることがあり、急カーブなどでは横転する可能性もあります。
過積載が原因の事故例
過積載による事故例
平成24年3月29日に京都のコンビニ駐車場でトラックがコンビニスタッフを店舗の壁との間に挟むという事故が起こりました。
このトラックは最大積載量が2.4tであったのに対して8tもの積載を行っており、バックで駐車しようとした際に車止めを超えてコンビニスタッフに衝突したものです。
過積載による事故例
平成16年、岐阜県でトラックと普通車の正面衝突事故が起こりました。過積載であったトラックが走行中にパンクしたことによってハンドル操作ができなくなり、対向車線に大きくはみ出したことで起きた事故です。
まとめ
できるだけ荷物を多く積載した方が効率が良い、儲かると考えて過積載で走行しているトラックがありますが、法令違反による罰則があるだけでなく重大な事故を引き起こす可能性もある危険な行為です。
安全運転のためにも過積載での走行は絶対にやめましょう。