タンクローリーの構造はどうなっているの?タンクローリーの仕組みを徹底解剖!

タンクローリーを運転している方にとって、仕組みや構造がかなり複雑になっており気になるところですよね。

タンクローリーは様々なものを運搬できる便利な車なのですが、それだけに構造が複雑になっています。

そこでここでは、タンクローリーの構造について説明をしていきます。

タンクローリーってどんなトラック?

タンクローリーは消防法上では「移動タンク貯蔵所」の中の「積載式移動タンク貯蔵所」に区分されています。これは移動タンク貯蔵所のうち、移動貯蔵タンクを車両などに積み替える構造を備えているものを指します。

そのため、移動貯蔵タンクを車両のシャーシフレームにボルトなどを使用して緊結したものを指し、吊り金具やフォークリフトポケットなどを有していないものは「積載式移動タンク貯蔵所」に該当しません。

安全確保のための外部構造

安全弁付きマンホール

危険物タンクと呼ばれるタンクの上部にはマンホールが設置されています。マンホールには

  • 注入口
  • 検尺
  • 空気安全弁

などがあります。

内部に危険物を注入していく注ぎ口が注入口です。検尺はあまり聞きなじみのない言葉かもしれませんが、長い棒でタンク内の液量を測ることです。これを検尺といいます。

空気安全弁はタンク内部の圧力が上がり過ぎた場合はとても危険になるために常用圧力の1.1倍を超えると自然と開くことで空気を外に出し、安全性を確保するものです。

液漏れ防止の防護枠

タンク上部には、マンホールなどを保護するために防護枠を設置することが義務付けられています(危険物の規制に関する政令 第十五条第一項第七号)。

事故や異常によって仮にマンホールから危険物が溢れ出したとしても、そのまま外に流れ出ていかないようになっているのです。

横転時の回転を防ぐ側面枠

また、カーブなどでタンクローリーが横転してしまうとタンクの中身が逆流してしまう可能性があります。そんなときでも中身が逆流しないように、タンクの側面には側面枠という突起物が付けられています。

この機能によって、事故などの際でも中身が一気に外に流れ出てしまわないようになっているのです。

タンクローリーの内部構造は?

液体の揺れを抑える防波板

また、防波板というものがあります。

これは、最大積載量が30tにもなる液体を一つのタンクに載せた状態で運転をすると、加速時やブレーキ時にタンク内部で30tの流動体が激しく移動し「共振」してしまって横転することを防ぐためのものです。

さらに4,000L以下に抑えられた一室内にも、揺れを抑えるために防波板が設置されており、横転を防ぐ備えがされています。

混載を可能にする仕切り板

タンクの内部は、すべてがつながってしまっているわけではなく、一室が4,000L以下になるように間仕切りがされていて小部屋にわかれています

間仕切りに使用されている板のことを仕切板と呼び、仕切板はタンクに溶接されていますのでタンク内部を独立した小部屋に仕切ることができるのです。

このことによって一種類だけでなく、複数の種類のものを同時に運ぶことを可能としています。

タンクローリーは荷物に合わせた種類がある

大型タンクローリー・タンクトレーラ

タンクローリーは様々なものを運搬します。運ぶものの内容によってタンクの大きさや形、材質などが違ってきています。運ぶものによって使い分けがされていると考えておきましょう。

ステンレスローリ

石油や液化ガスなどの燃料などの危険物を運ぶ際には強度や耐久性がタンクの材質に求められます。運搬する危険物によってステンレス、鉄、強化プラスチックなどが採用されています。

アスファルトローリ

運搬するものが液体硫黄やアスファルトのように、外気温に触れていると固まってしまうようなものの場合は、

  • タンクが二重保温構造になっているもの
  • タンク自体に加熱装置が備えられているもの

が使用されています。

散水車

タンクローリーは石油や劇薬を運ぶだけではなく、普通の水を大量に運ぶということも可能です。運んでいる水を高いポンプ圧を利用して一気に放水するということもできますし、広い範囲に散水するということもできます。

給水車

衛生面に優れるステンレス型タンクなどで綺麗な飲料水を運ぶ給水車もあります。地震や台風などの被災地で少しずつ給水をするということも可能で、メンテナンスも含めて衛生面に配慮されています。

危険物の輸送には運転免許以外の資格も必要!

タンクローリーを公道で走行する際にはその大きさから単純に「大型運転免許」が必要となります。

大型免許を保有していなければまずタンクローリーは運転することができないと考えておいて良いでしょう。これは道路交通法に関係しています。

タンクローリーは運転席を含む本体部分と連結するタンクの部分とに分かれます。タンクの部分を牽引するには、けん引免許が必要となります。タンクローリーやトレーラーを運転する際には必ず必要になると思っておきましょう。

高圧ガスローリーを運転するには高圧ガス移動監視者慣習(冷凍機械以外の高圧ガス製造保安責任者免状所持者は受講不要)の修了(あるいは修了者の同乗)が必要になります。

つまり運転手が必ずしも資格を保有している必要はなく、資格を持っている同乗者がいれば問題ないのですが、実際にはそのために余計に人員をさくことは難しいため運転手みずからが資格を持っている場合がほとんどとなっています。

危険物を運搬する際には危険物取扱者の資格(あるいは有資格者の同乗)が必要となります。

危険物取扱には

  • 甲種
  • 乙種
  • 丙種

とあり、甲種であればすべてに対応できますが、乙種以下の場合は運搬する危険物に対応している資格が必要となります。対応していない資格を持っていても無効となるため注意が必要となります。

こちらも運転手みずからが持っていない場合でも同乗者が資格を保有していれば良いのですが、実際には運転手が保有していることがほとんどです。

毒物を運搬する際には毒物劇物取扱責任者の居る事業所から業務上取扱者としての届出を出した上で、「毒物及び劇物取締法」にのっとって運搬する必要があります。

まとめ

色々なものを運ぶことができるタンクローリーだけに種類もいくつかあり、その構造も複雑になっています。運ぶものによってその構造を正しく理解していくことが重要だと言えるでしょう。

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