玉掛けの吊り方解説!玉掛けを行う上で注意したいポイントと玉掛け不良の懸念点

クレーン作業で必ず必要になるのが玉掛け業務です。玉掛けは技能講習を修了した者でないと行うことは出来ません。

玉掛けには様々な吊り方があり、それぞれ長所や短所などが変わってきます。そこで今回は、気になる玉掛けの吊り方について詳しくご紹介していきたいと思います。

玉掛け作業について

玉掛け作業とは何かというと、クレーンなどのフックに荷物を掛ける時の作業の事をいいます。

クレーンを使って荷物を上げ下ろしする必要がある重い荷物が、安全に固定されていないと大変危険なので大変重要な作業の一つです。

クレーンを使う作業を行う時には必ず必要な作業で、資格を持った人がこの作業を担当します。

なぜ資格が必要なのかというと、吊り荷にあった用具選びができる事や吊り荷にあった吊り具を選べる知識と経験が必要なとても重要な仕事なのです。

吊り荷に合った用具選びが重要

どうして重要なのかというと、吊り荷は現場によってさまざまなので、その吊り荷に適している用具を選ばないと、

運んでいる最中にバランスを崩してしまって落下してしまった場合、下にいる作業員の方に命の危険が及ぶかもしれないからです。

そのため吊り荷がどんな形状なのか?どのようにしてバランスをとるのかをよく熟知している方が、最適な用具を選んで安全に吊り荷が運べるようにしなくてはなりません。

使用する用具はワイヤーロープ、スリリングベルトなどを使い分けします。

玉掛け用ワイヤーでの吊り方を紹介!

ここでは玉掛け用ワイヤーでの吊り方をそれぞれわかりやすくご紹介いたします。

2本2点吊り

2本のワイヤーロープを荷物の両端に取付けて、2本のロープの端をフックに取り付ける玉掛けの方法で、フックに掛ける2本のワイヤーロープが重ならないように掛けます。この玉掛の方法にも注意点があります。

吊り角度や吊り荷重、そしてワイヤー径などを計算して最適なロープを選ぶ必要があります。

4本4点吊り

クランプ吊りともいわれている玉掛けの方法で、板状の荷物を上げ下げする時に行う方法で、荷物の4か所にクランプを取り付けます。

そのクランプに4本のワイヤーロープを取り付け、フックに重ならないようにワイヤーロープを掛けます。

吊り角度は60度以内、横吊りクランプの場合は掛け幅の角度が30度以内とします。クランプが滑らないように油分や錆びや塗料は丁寧に取り除きます。製造者が定めている使用荷重や使用範囲を必ず守らなくてはなりません。

2本4点あだ巻き吊り

2本4点あだ巻き吊りというのは2本のワイヤーを使います。棒状の荷物を吊り上げる時などに使う玉掛けのやり方で、

フックを中心に左右にワイヤーをあだ巻きという方法で固定し、2つのワイヤーの4つの両端をフックに引っ掛けます。

この時あだ巻きするワイヤーが重ならないように注意し、フックに4つのワイヤー口を掛ける時も重ならないように気を付けましょう。

2本2点あだ巻き目通し吊り

2本のワイヤーロープを使います。それぞれを吊り荷の左右に重ならないようあだ巻きします。そしてアイ金具にロープを通す玉掛けの方法で、複数の長材を一度に吊り上げたい時に行います。

回転してしまわないようにあだ巻きする向きを変えます。吊り角度は60度以内になるように気を付けましょう。

2本4点半掛け吊り

2本のワイヤーロープを使って行う玉掛けの吊り方で、角のある荷物を吊り上げる時に行う玉掛けの方法です。あて布などを使ってワイヤーロープがずれたり、ずれによる角部の損傷を防止する事ができます。

フックへ掛ける時は4つの掛け口が重ならないよう注意しましょう。しっかり固定しているわけではありませんので、原則60度以内の吊り角度で作業しましょう。

2本2点目通し吊り

アイボルト形のシャックルというう部品を使った玉掛けの方法で、アイボルト形のシャックルを2本のワイヤーロープに取付けて、フックの中心から左右にワイヤーロープを固定します。

シャックルの取り付け方はアイボルトの方にワイヤーロープを通します。U字型になった方を固定してはいけません。

3点調整吊り

運ぶ荷物の太さが前後で違う場合の玉掛けの方法で、2本のワイヤーを使いチェーンブロックを使います。荷物は重ならないようにあだ巻きし、太い側を「きき側」細い方を「支え側」とします。

支え側のワイヤーロープはチェーンブロックについたフックに重ならないように取付け、チェーンブロックのワイヤー口と聞き側のロープ口をクレーンのフックに重ならないように取り付けます。

最終的に吊り荷にかける箇所は3点となります。調整期を操作する時は荷重をかけずに作業しましょう。吊り角度も60度以内で行いましょう。

あや掛け吊り

2本のワイヤーロープを使います。吊り荷の底面で交差させる玉掛けの方法で、丸い板状の荷物を吊る時に行う玉掛けの方法です。注意する点としては円の中心に交差する場所がくるようにする事です。

2本のワイヤーロープを使うので面倒だと感じるかもしれませんが、必ず2本のワイヤーロープを使わなくてはなりません。もちろんフックには重ならないようにワイヤーロープを掛けます。

フックにかける方法にも種類がある!

ここではフックに掛ける様々な方法についてご紹介いたします。

目掛け

目掛けというのはアイの部分をフックに掛ける方法です。この掛け方は標準的な掛け方だけではなく、安全に掛ける事ができる方法なのですが、非対象の荷物に使う事が難しいのがデメリットです。

吊り方はアイを一つ掛ける『1本吊り』2本のアイを掛ける『2本吊り』そして4つのアイを掛ける『4本吊り』です。フックに掛ける時にはアイが重ならないよう注意が必要です。

半掛け

フックにワイヤーロープを掛ける吊り方です。アイの部分を掛けられない時には半掛けという方法で吊り荷を運びます。例えば荷物の方につり手が付いている場合や、定型的なものの場合の玉掛けの方法です。

本来なら安定した吊り方なのですが、重心が中心に無い吊り荷や重心などが高い場合には適していません。バランスを崩して落下してしまう原因になりかねません。

あだ巻き掛け

この方法はフックにあだ巻きといってロープを一回巻き付ける方法です。ロープは最大4本までこの方法で掛ける事ができます。

半掛けした時に滑っては困る場合などに一回フックに巻き付けたり、ロープの長さを調節したりできます。太いワイヤーロープでは巻きにくく危険なのでできません。

またロープに癖がついてしまう事が多いので、ロープの修正が必要になるので注意が必要です。当然ですがフックで重ならないように取り付けます。

肩掛け

太いロープで吊り荷を掛ける時に行う方法で、フックの肩の部分にロープを一回巻き付けます。ワイヤーロープに癖が付きにくいのでとても良いのですが、複数のロープを掛けるのには適していません。

重ならないようにしなくてはならないため、通常は1本のワイヤーロープを掛ける時に使います。またフックの形状によってはかけにくい事もあります。

玉掛け不良の危険性

ここでは玉掛け不良が起こった場合の危険性についてをご紹介いたします。

吊り荷の落下

しっかりとした玉掛けをしていないとバランスが崩れてしまい、ワイヤーが滑ってしまったり外れてしまったりして吊り荷が落下してしまう事があります。

万が一吊り荷のバランスが崩れてロープが外れるような事があれば大惨事につながります。実際に過去には玉掛けが十分ではなかったために、運んでいる途中でバランスを崩してワイヤーロープが外れてしまい、

荷物が落下して下で作業をしていた作業員が荷物の下敷きになって、死亡事故などにつながったケースがあります。

玉掛けは建設作業現場や倉庫などで行われる作業なので、落ちてくる荷物の重量はかなり重く、落下してきたらひとたまりもありません。危険を含んでいる作業なだけに十分に注意して玉掛け作業を行わなくてはならないのです。

吊りワイヤー・ベルトの断裂

ワイヤーロープやベルトなどはとても頑丈にできていますが、吊り方の方法や角度が適切ではない場合、

一か所に負荷がかかってしまってワイヤーロープが切れてしまったり、ベルトが破損してしまって結果的に吊り荷が落下してしまう事になります。

やはり落下してくれば下で作業をしている作業員の命に危険が及ぶ事が考えられます。そうならないためにも吊り方は正しいやり方で行い、その際には角度をしっかりと測定して慎重に運び出す事が大事です。

適切な玉掛けが事故を防ぐ!

ご説明してきたように、玉掛作業は作業員の命を守るためにも吊り荷を守るためにも非常に重要です。

安全に吊り荷を運ぶためにも吊り荷の形状や重さなどを把握し、吊り荷に合った用具を使って最適な方法で玉掛けしなくてはなりません。

もちろん今回ご紹介してきたように、いろいろな方法で玉掛けを行いますが、最適な判断をするためには経験も必要かもしれません。

覚えるのは大変だと感じる事もあるかもしれませんが、現場の作業員の命を守る大切な仕事であるのは事実です。

さらに玉掛けに使用する用具についても常に点検を行い、事故につながりかねないロープの癖を修正したり、部品の状態を把握しておく事も非常に重要なので、常に点検を怠らないよう気を配りましょう。

まとめ

今回は、クレーン作業に欠かすことができない玉掛けという作業についてご紹介いたしました。吊り荷によって最適な方法で玉掛けを行いましょう。

地味な作業に感じるかもしれませんが、作業員全員が安全に仕事をするための重要な役割を持つ作業なのです。

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