労働基準法改正で運送会社はどう変わる? 働き方改革で運転手の残業時間は短くなるか
ご存知の方も多いと思いますが2018年に労働基準法が改正され、残業時間が短縮されることになりましたね。
運送会社の場合は2024年からその適用となりますが、この改正が運送会社に与える影響そして今後のプランの提案もご紹介いたします。
労働基準法が改正されました
ここでは労働基準法のどこが改正されたのかについてを簡単に説明いたします。
現状の働き方(改善基準告示)
現在トラック運転手など運送会社(自動車運転業務)の労働時間の上限は、1989年に定められた労働基準法32条に基づき決められています。
例えばひと月の労働時間(拘束時間)は原則として239時間を超えてはならない。ただし36協定(労使協定)を締結している場合は320時間まで、それでも1年間の合計は3516時間を超えられないなどですね。
この決まりを破ってしまうと労働基準法違反となってしまうので気を付けなくてはならないわけです。
働き方改革と労働基準法
働き方改革で何が変わったのかというと、時間外労働の上限が定められたという点と、違反すると罰則があるという点が変更になりましたね。
ただし改定されたといってもすぐにこの罰則が適用されるわけではありません。
大企業の場合は2019年4月から、中小企業の場合は2020年の4月からとなっています。
特にドライバーはこれまで長時間勤務が当たり前になっている部分があるので、改善するためには予想以上の時間がかかると考えられます。
なのでドライバー業界は2024年からの適用となります。
運送会社が覚えておくべき労働基準法改正のポイント
ここでは運送会社が新しい労働基準法改正で覚えておかなくてはならないいくつかのポイントをご紹介いたします。
時間外労働は年960時間まで
時間外労働については年で960時間までと定められています。月平均にすると80時間という計算になりますが、実は月間の上限は定められてはいないのです。
ちなみにひと月は30日または31日ですが、80時間の労働時間だけではなくその間には休息日を挟まなくてはなりません。
もしもこれに違反したことがわかれば30万円以下の罰金、もしくは6か月以下の懲役が科せられるので気を付けなくてはなりません。
人が足らなくてつい労働時間が超過したりしがちですが、くれぐれも違法行為にならないよう気を付けましょう。
年休5日取得が義務化される
年休付与日数が10日以上の労働者は年間必ず5日間のいわゆる有給休暇を取得しなくてはならないと定められています。この年休付与日数が10日以上の労働者が何かがわかりにくいですが、有給休暇がもらえる労働者のことです。
例えば正社員などは一定の条件を満たせば有給休暇がもらえるようになりますよね。
また、パート労働者であっても条件に当てはまる方もいらっしゃいますので、自分が当てはまるかどうかを確認してみましょう。
時間外労働の割増賃金
法定労働時間は1日に8時間となっています。それ以上仕事をする場合には当然ですが法定労働時間外、時間外労働となってしまうので注意が必要です。
時間外労働をしたら当然ですが時間外労働に対しての報酬も発生します。
割増料金に関してですが、月60時間までの時間外労働の場合は25%増しの料金となります。
もしも60時間を超える場合には超えた分の料金は50%増しの料金を支払わなくてはならないので、計算する時には十分気を付けなくてはなりません。
同一労働同一賃金
ちょっと難しい言葉ですが、この『同一労働同一賃金』というのは雇用形態に関わらず、同じ仕事をするのならば同じ賃金を払わなくてはならないという考え方です。
つまり正社員と契約社員、パートやアルバイトなども同じです。
もしも契約社員と正社員では賃金に差があるという会社の場合は、公平に賃金を支払わなくては違反行為となるので罰則が与えられるので、現在雇用形態で賃金に差がある場合は違反にならないように対応を考えなくてはなりません。
2024年に向けて運送会社が行うべきこと
ドライバー業界では2024年に適用となるので、それまでにどのような対応をすべきなのかをご紹介いたします。
人材の多様化と活用
これまでドライバー業界といえば男性の方が働いていることが多かったですが、今後は労働基準が改正されるので働く方の多様性についてもアピールする必要があるでしょう。例えば女性や若い方を呼び込むなどですよね。
そのためには企業のアピールに魅力を感じなくてはなりません。アピールのポイントとなるのは給与体系、労働環境の見直しです。
2024年はすぐやってきますので、アピールしやすい環境づくりを心掛けると良いでしょう。
経営改革
ドライバー業界はガソリン代や梱包代など何かと経費がかかってしまう割に、運賃にそのコストを反映しにくいのが現状でした。でも運賃の設定や経費については改めて見直しをする必要があります。
そのためには新しい設備投資も必要かもしれません。
例えばデジタコの導入やIT点呼の導入も良いですね。ITを上手に活用すると運行管理がスムーズにできるようになります。必然的に運賃の設定や経費の見直しができるようになるのです。
それに伴い事務職の働き改革や労働時間の見直しができるようになるでしょう。
労働生産性を向上させる
当たり前のことですが、労働生産性の向上は企業の働き方改革には欠かすことができません。
例えばパレットを利用して荷物を扱ったり、運搬器具を使うことによってより効率的に荷物の積み下ろしができるようになります。
また、高速道路を上手に活用することで早く荷物を届けることができるようになります。運賃にも反映しやすいですよね。
それと同じで大型車両を導入することでより多くの荷物を一度に輸送することも重要です。
適正取引
ドライバーとの契約が曖昧だと人によって契約内容が違うなどの問題が発生する可能性が高いです。そのため契約書を書面化して条件を明確にしておくという取り組みも必要になります。
同一労働同一賃金にも関係がありますね。
この中に労働時間や待機時間についての記述をしておけば、後になって問題が起こることもありません。もちろん企業間の契約も同じです。
例えば再生産可能な運賃の設定をすることができ、原価計算、利益上乗せなどがわかりやすく、運賃設定を適正化させることもできます。
まとめ
今回は運送会社の労働基準法についてと、ドライバー業界であれば2024年までにどのような改善を行わなくてはならないのか、そして注目すべきポイントなどをご紹介いたしました。
この記事がドライバーの労働基準法がわかりにくいと思っている方のお役に立てれば幸いです。