冷凍車の構造/仕組みはどうなってる?冷凍車が冷やせるのは何度までか
私たちの生活に欠かせない冷凍食品などを運搬する時に使われている冷凍車は、どうして食品を冷凍しながら輸送する事ができるのか気になった事はありませんか?
今回は冷凍車の構造についてをわかりやすく説明いたします。
冷凍車の役割
冷凍車は冷凍された食品などを凍ったまま輸送する事を目的として製造されています。
皆さんも経験された事があるかもしれませんが、冷凍食品は少しでも溶けてしまうと調理した時に爆発してしまったりしますよね。
お店から自宅へ戻るまでの間に溶けてしまう事もある冷凍食品を、食品会社からお店に運ぶまで凍った状態を保って輸送しなくてはならないので、冷凍庫を搭載した車両が必要になるのです。
冷凍車は運ぶ商品に必要な温度に設定する事ができます。冷凍車は2トン、4トン、10トンと輸送する荷物の量に合わせたサイズを選ぶ事ができます。
温度の調節がきくタイプも多いので、その分車両価格が高くなるのも事実です。そのため購入だけではなくレンタルや中古を使うといった選択肢が多いのも冷凍車の特徴かもしれません。
冷凍車と冷蔵車の違いについて
ここでは冷凍車と冷蔵車はどこがどんな風に違うのかについてを簡単に説明いたします。
冷凍車
冷凍車の荷台に使われているのは断熱できる素材でできています。
アルミパネルやFRPパネルなどを使って造られていますが、これは外からの熱を内部へと吸収しないようにするためで、それと同時に内部の冷気を外に逃がさないような造りが必要だからです。
荷台の前方に冷凍機能を搭載しており、中にはバッテリーを搭載しているタイプのものもあります。
冷凍車は-30℃まで冷やせるものと、-5度の二種類があり冷凍食品やアイスクリーム、鮮魚や肉などを輸送するのに適しています。
冷蔵車
冷蔵車も箱の構造は冷凍車と変わりません。温度設定が-5℃に設定する事ができるので、冷蔵庫程度の温度が必要な製品を輸送するのに適しています。
冷凍車とは違って凍ってはいけない製品、例えば野菜や果物などを運ぶのに適しています。他にも精密機械などを冷蔵した状態で運んだり、植物などを運んだりするのにも適しています。
冷凍車と冷蔵車の大きな違いは設定できる温度でしょう。ちなみに冷蔵機能が付いていないタイプのトラックもありますが、このタイプは保冷車といい冷凍車とも冷蔵車とも違う車両です。
冷凍車の構造について
ここでは冷凍車の構造についてご紹介いたします。
荷物を冷やすための冷却システム
冷凍車の冷却システムですが、9割以上の車両が『機械式』です。機械式とはどういう事なのかというと、エンジンでコンプレッサーを可動させて冷凍機に冷気を送るシステムの事です。
つまり簡単に言ってしまうと車のエアコンと同じなのです。コンプレッサーで送られた空気はコンデンサーという部分で冷やされます。
冷やされた冷気が冷凍庫の箱の中に冷気をためていき、結果的に中に入れてある食品などを凍った状態で輸送する事ができるという仕組みなのです。
他にも液体窒素式や蓄冷式というシステムもあります。
積み置きや予冷が可能なスタンバイユニット
機械式の冷凍システムは非常に効率よく庫内温度を下げる事ができるのですが、エンジンが動いていないと可動しないというデメリットがあります。
例えば多くの荷物を積み込んでおいて翌日に動くといった場合には、中に入れてある製品が溶けてしまうでしょう。
そこで考えられたのがスタンバイユニットという方法です。これはAC電源が搭載されているのでエンジンを停止していても冷凍する事が可能な便利な機能です。
やむを得ずエンジンを停止する場合などに非常に助かる機能なのですね。
断熱効果の高い外装
冷蔵車や冷凍車とは言っても庫内温度は外気の状態に左右されやすいという特徴があります。当然夏の炎天下よりも冬の晴れの日の方が庫内温度を保つのにたくさんの電力を使わなくても良いのは事実でしょう。
しかしながら夏場でも庫内温度を一定に保つための構造をしています。箱の外側にはガラス繊維とプラスチック素材を合わせたFRP材を使っています。
内側にはアルミ材で造られた板があり、その間に断熱材を入れてあります。
電気でも稼働が可能な車種も!
トラックで荷物を輸送する時には前日などに荷物を積み込んでおいて、朝早い時間から輸送を始めるケースがあります。
この時エンジン式の冷凍車だと一晩中エンジンをかけた状態で置かなくてはならない事があります。
この時周辺に住宅が無ければ問題は起こらないでしょうが、周辺に住宅があった場合には一晩中エンジンの音が鳴っていると、うるさくて眠れないなどの苦情が出る事が考えられます。
だからといってエンジンを止めて寝る事はできません。そこで便利なのが先ほども紹介したスタンバイユニット方式です。
AC電源が別途搭載されているので別電源で冷やし続ける事ができるのです。これは住宅街に車庫がある企業ではもはや当然の配慮です。
ちなみにこの機能はフェリーで移動しなくてはならない場合にもとても便利ですし、排ガス対策や燃料費の削減などにも貢献してくれる機能なのです。
基本は車のクーラーと変わらない!
冷凍車や冷蔵車というと、自宅にある冷蔵庫を想像してしまうかもしれませんが、冷凍車や冷蔵車の仕組みというのは先ほども簡単に触れたように、普通乗用車のエアコンのシステムと何ら変わりはありません。
車用のエアコンと違うのはコンデンサーが付いていて、好みの温度に設定ができるかできないかくらいでしょう。
もちろん液体窒素式であったり蓄冷式の場合はエアコンとは違いますが、それぞれメリットとデメリットを踏まえて利用すると良いですね。
また、冷凍車は新車だと高額なので維持費やコストなどを考慮しつつ、最適なタイプの冷凍車を選ぶ事も重要です。
保温性が高い箱を選ぶだけじゃなく、外気の影響を受けにくい箱かどうかも考慮するとさらにコストを下げる事ができるでしょう。
まとめ
今回は冷凍車の構造はどんな風になっているのかという点、そして実は乗用車のエアコンの構造とおあまり変わらないという事についても説明をいたしました。
この記事が冷凍車の構造について知りたいという方の参考になれば幸いです。