大型トラックの上手な曲がり方のコツとは?カーブ時に気をつけるべきポイント

大型トラックは乗用車と違い、車体も大きく車幅も長い構造をしています。

そのため、うまく運転するためにはいくつかのコツを習得する必要があります。中でも多くのドライバーにとって特に不安なのは、やはり左折や右バック。

そこで今回は、大型トラックでの曲がり方をマスターしたいという方のために、注意すべきポイントを紹介します。初心者の方や運送業への転職希望者の方にぜひおすすめです。

大型トラックと乗用車の違い

大型トラックの曲がり方について知るには、まず大型トラックの特徴を知らなければなりません。乗用車との比較という形で、大型トラックがどのような構造を持っているのかを見ていきましょう。

車幅

トラックの種別は道路運送法の保安基準によって定められており、寸法や最大積載量、車両総重量によって大型、中型、小型のどこに属するかが決まります。大型トラックの条件は、全幅2,500mm以内であること。

これに対して、普通乗用車の全幅は1,700mm以上2,500mm以内となっています。こう見ると車幅に関しては差がないとも言えそうですが、それはあくまでも規定上の最大サイズならばの話。

実際に大型トラック並の車幅をもつ普通乗用車はまずありませんから、やはり同じ感覚で運転できるとは考えないほうがいいでしょう。

車体の長さ

次に、車体の長さを比べてみましょう。先に紹介した道路運送法の保安基準において、大型トラックの全長は12,000mm以内と定められています。

一方、普通乗用車の全長は5ナンバー規格で4,700mm以内とされています。荷台の長さが大きいぶん、トラックのほうが当然ながら全長も大きくなります。

大型トラックであればなおさらと言ったところでしょう。もとより一目瞭然ではありますが、数字で見てみるとその差がはっきりとわかりますね。

運転席の高さ

大型トラックと普通自動車の運転感覚が大きく異なる理由の一つに、目線の高さがあります。大型トラックは運転席そのものが高い位置にあるため、必然的に目線も高くなるのです。

どのくらいの差があるのかと言うと、普通自動車の運転席の高さが約1.2mであるのに対して、大型トラックでは倍の約2.4mほど。

これはトラックのエンジンが車体の一番前に内蔵されているためです。車体の後部には荷台があるため、エンジンを設置できるスペースは前にしかありません。

その上に運転席を設ける格好になるので、構造上どうしても高くなってしまうわけです。

ルームミラー

トラックを運転する際に意識しなければならない重要なポイントとして、ルームミラーが使えないという点が挙げられます。つまり、後方を確認しにくいわけですね。

普通自動車であれば運転席の後ろには後部座席があり、さらにその後ろのリアガラスから後方が見えるため、ルームミラーを見れば後続車両との距離などを確認することができます。

しかしトラックの場合、運転席の後ろにあるのはキャブと荷台とを隔てる壁です。ルームミラーを見ても壁しか映らないので、サイドミラーを使ったり、一度降りて目視確認したりといったことが必要になります。

クラッチとブレーキ

普通乗用車とトラックのような業務用車両の違いとして、乗用車はオートマが主流であるのに対し、業務用車両はミッション車が一般的であることが挙げられます。

もちろんトラックも例外ではなく、大型トラックの場合はほとんどがミッション車。ドライバーはクラッチ操作の技術を求められます。

また、ディーゼルエンジンを使用している車両では、エンジンブレーキの効果を増すために排気ブレーキが採用されていることがあります。

大型トラックの曲がり方で難しいのは

大型トラックの車体の特性については把握できました。そうなると次に気になってくるのは、具体的な運転の難所ですよね。ここからは大型トラックの運転で何が難しいのか、どういった事故が起こりやすいかを紹介します。

左折

トラック運転の鬼門と言われているのが左折です。日本製の車は運転席が右側にあるため、右を確認することはそれほど難しくありません。

その一方で、左はミラー頼みになります。しかしトラックは死角が広く、左側後方の視界を充分に確保できないことが多いのです。また、大型トラックであれば内輪差も問題となるでしょう。

左後方や対向車の動きをよく確認しないままに左折を行ってしまうと、衝突や巻き込みといった事故に繋がるおそれがあります。

右バック

大型トラックは車体そのものが長く、運転席と荷台後方との距離が遠いため、どの程度バックすればいいのかの感覚が掴みにくいとされています。

また、大型トラックでは一回のバックで目的の位置に入れるというよりも、何回も切り返しながら入れることが普通になるでしょう。

切り返しを考慮に入れず、角や障害物のギリギリを通そうとすると、切り返しても修正できずに接触してしまうことになりかねません。

大型トラックで左折するときの注意点

大型トラックの左折の難易度についてはわかっていただけたかと思います。そこで今度は、どうすればうまく左折することができるのか、いくつか押さえておくべきコツを紹介していきます。

道幅・歩行者・対向車

まず何より重要なのは、周囲の状況をよく確認することです。道幅は広いのか狭いのか、歩行者や自転車はいないか、対向車が来ているかどうか。

これらの状況を充分に把握しないままハンドルを切ってしまうと、塀に接触したり、二輪車や歩行者を巻き込んだりといった事故に繋がるかもしれません。

サイドミラーやサイドアンダーミラーを使ったり、場合によっては一旦車を降りて目視で確認するなどして、安全を確かめながら曲がるようにしましょう。

内輪差の感覚をつかもう

大型トラックは車体の全長が長いため、曲がる際には内輪差を意識する必要があります。内輪差とは、回転の中心側の前輪が描く弧と、後輪が描く弧との間に生じる半径の差のことです。

後輪は前輪よりも内側を回ることになるため、気をつけておかないと曲がり角の障害物に車体後部が接触してしまうわけですね。

前輪の後輪との距離が長ければ長いほど、内輪差も大きくなります。大型トラックの内輪差が大きいのはこのためです。普通乗用車と同じ感覚でハンドルを切らないようにしましょう。

オーバーハングに気をつける

オーバーハングとは、タイヤから車体がはみだしている部分のこと。前輪からフロントバンパーまでのことをフロントオーバーハング、後輪から荷台の最後尾までのことをリアオーバーハングと呼びます。

トラックの運転時に気をつけなければならないのは、リアオーバーハングです。荷台が大きければリアオーバーハングも長くなるため、大型トラックの場合は特に注意が必要です。

大型トラックの長いオーバーハングは対向車線にはみ出しがちです。左折時は対向車の有無をよく確認してからハンドル操作を行いましょう。

ハンドル操作は余裕をもって

では、具体的にどのように運転すれば内輪差やオーバーハングによる事故を防ぐことができるのでしょうか。方法としては、何をおいても余裕をもってハンドル操作すること。

内輪差による巻き込み事故を防ぐには、まず曲がりたい位置からある程度まっすぐ進んでおいてハンドルを切り始めることが有効です。

また、オーバーハングのはみ出しによる衝突事故を避けるには、反対車線に出ない程度に一旦右へ膨らませてから左折するとよいでしょう。

急ブレーキは絶対NG

大型トラックで事故を防ぐためには、急ブレーキを踏まないことも重要です。そもそも車の制動力はフロント側のほうが強くかかるのですが、大型トラックの場合はさらに先述したとおり、エンジンがフロント側に内蔵されています。

必然的にフロントのほうが重くなるので、急ブレーキを踏むと軽いリア側が浮いて回転してしまうのです。この現象は「ケツ振り」という俗語で呼ばれたりもします。

荷物を積んでいないときは特に起こりやすいので注意しましょう。

大型トラックで右バックするときの注意点

ここからは、右バックするときに押さえておくべきコツを紹介していきます。

ルームミラーが使えない

第一に念頭に置いていただきたいのは、ルームミラーが使えないということです。理由は先に述べたとおりです。

トラックは後部座席の代わりに荷台がついているので、運転席にあるルームミラーから見えるのは、後続車両ではなく運転席と荷台とを隔てる壁。後方を確認する役には立ちません。

サイドミラーやサイドアンダーミラーを見る、車を降りて目視確認するなどの方法で対処しましょう。

タイヤを寄せるポイントを探す

次に、タイヤを寄せていく目印を探しましょう。バックする場所の「カド」に当たる部分に注目してください。その「カド」にタイヤを寄せるようにしてバックすると、接触させずに車体を収めることが可能です。

右バックであれば、カドに右後輪を寄せるようにしてバックしていけばうまくいくでしょう。

狭い道では無理せず切り返しを

大型トラックでバックする際には、一発で入れることを諦める意識も大切です。特に狭い道でバックを行う場合、一回のバックで目的の位置に車を収められるとは考えないほうがいいでしょう。

何度も切り返しをしながら、最終的に目測どおりバックすることができればよいのです。

事故を起こさないために気をつけること

事故を防止するために、運転技術以外のところで導入できる対策を紹介します。

死角を減らす工夫を!

大型トラックの事故の原因は、死角の多さに由来します。車体が長いため左後方は見えませんし、荷台があるので後ろも確認できません。

また、運転席が高い位置にあるため、左前方から正面下にかけても死角となってしまいます。

サイドミラーやアンダーミラーの角度を調整したり、助手席の窓ガラスを透明なものにしておくなどして、なるべく死角をカバーできるような工夫を施しましょう。

音声アラームで注意を喚起

自分の車がこれからどのような動きをするのか、周囲に知ってもらうことも事故の防止を考えるうえでは大切です。

町でトラックを見かけたとき、「バックします」や「左に曲がります」といった音声アラームが聞こえることがありますよね。

音を鳴らして周囲にアピールすることで、こちらが運転操作を始めてから不用意に近づかれることを防ぐことができます。

慣れないうちは補助を頼む

ここまで見てきたとおり、大型トラックは運転にある程度のコツを必要とします。自信のないうちは自分ひとりで運転せず、安全確認のための人員に同乗してもらうのがよいでしょう。

もしベテランドライバーに補助してもらえれば、運転にまつわるアドバイスをもらうこともできます。

まとめ

大型トラックは車体の特殊性から、たとえ普段から車に乗っている人であっても、運転に慣れるまでには多かれ少なかれ時間を必要とするでしょう。運転のコツを掴むため、この記事を参考にしていただければ幸いです。

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