運送会社で働くドライバーの労働時間・改善基準告示のポイントをわかりやすくご紹介
運送会社で働くドライバーの労働時間は、厚労省が出した「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」によって細かく決められています。
ドライバーの拘束時間、休日、運転時間などについてここでは紹介していきたいと思います。また、2024年の労働基準法改正についても簡単に紹介していきます。
改善告示基準とは
ドライバーの健康を守るためにはさまざまな法令が定められています。
一般に改善告示基準と呼ばれているものは正式には「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」と呼ばれるもので、平成元年に出されました。
内容はトラックなどを運転するドライバーの労働時間の改善などを目的としたものとなっており、細かくは「トラック運転者の労働時間等の改善基準」でまとめられています。
ここで、ドライバーの勤務時間、拘束時間、運転時間などについて記されています。
運送会社で働くドライバーの拘束時間
ドライバーの「1日」とは
長距離ドライバーなどの場合は日をまたいで仕事をすることもあるために分かりづらくなっている部分があるのですが、ドライバーの「1日」とは「始業時刻から起算した 24 時間。8時始業の人は、翌8時までが1日となる」と定められています。
これを基準にそれぞれの時間を考えていくことになります。
拘束時間とは
労働者の拘束時間は「始業から就業までの時間」となります。休憩や仮眠などについては「労働時間」には含まれませんが「拘束時間」には含まれます。
また、荷受け場や積み下ろしの際の待機時間も拘束時間に含まれるようになっています。
ドライバーの拘束時間
ドライバーの拘束時間の上限は「原則13時間、最大16時間」となっています。
ただし、「1週間のうち、拘束時間が15時間をこえる日は2日までが限度」というように定められています。
運送会社で働くドライバーの休日と休息期間
休憩と休息期間
「休憩」とは拘束時間の間に取られる休憩の時間を指しています。「休息期間」は勤務していない時間のことです。
1日8時間以上をとる必要があり、原則として分割してはいけません。
ドライバーの休日
休日とは「8時間の休息期間+24時間」を指しており、これを分割することはできません。
休日と休息時間についての特例
ここにはある条件を満たした場合にのみ特例が認められています。
- 休息時間の特例→どうしても8時間連続で取れない場合は分割もできる。が、継続して4時間以上、合計10時間にしなければならない
- 2人乗務の場合、体を伸ばして休める設備が車両内にあれば、拘束時間を最大20時間まで延長できる。休息時間も4時間まで短縮することができる
といったものです。
運送会社で働くドライバーの運転時間
連続運転時間
連続運転時間の限度は4時間と決められており、4時間連続で運転したら最低でも30分以上は運転しない時間を作る必要があります。
非運転時間は連続した30分以上に限らず分割して取ることもできます。ただし分割した場合は1回当たり10分以上となるようにする必要があります。
連続運転時間の上限
連続運転時間の上限は2日平均で9時間まで、2週間平均で44時間までと定められています。
運送会社で働くドライバーの時間外労働
時間外労働と休日労働
法定労働時間は8時間と定められています。そのため、それ以上の拘束時間は時間外労働と考えられます。
拘束時間についても年間の上限も定められており、年間3,516時間までとなっています。時間外労働をさせる場合も、この上限を超えることはできません。
2024年に向けての改善ポイント
2024年に労働基準法が改正されますが、時間外労働についても新しい基準が適用されます。
運送業界の時間外労働については「年間960時間まで」となるため、運送会社などはこの基準に合わせるために対応が求められています。
まとめ
運送業界のドライバーは労働環境が悪いとされてきました。そのため過酷な労働条件によって健康を害し、事故を起こすということもありました。
近年その状況を打破するために法改正が進められています。運送会社はこの基準にのっとり、ドライバーの健康を守っていく義務があると言えます。