物流二法の規制緩和で何が変わるのか?運送業界の規制緩和の影響について

1990年12月1日には運送業界では物流二法による規制緩和が行われました。それからは断続的に規制緩和が行われてきましたが、よほどその業界に精通していない限りはどのような規制緩和が行われているのかはわかりにくいというのが実状です。

そこでここでは近年どのような規制緩和が行われているのかについて紹介していきたいと思います。

物流二法の規制緩和について

物流二法とは「貨物自動車運送事業法」「貨物運送取扱事業法」の二つを指します。1990年 12月1日に貨物輸送に関する規制緩和の一環として制定されました。

貨物自動車運送事業法とは「トラック事業規制」を「道路運送法」から分離して独立させたものです。そこではそれまでの免許制を許可制に切り替え、より新規参入を促すような動きにしています。

さらに路線トラックと区域トラックで定められていた免許区別を廃止し、運賃もそれまでの認可制から事前届け出制に改めました。

貨物運送取扱事業法はそれまでの通運事業法を廃止して、一般的に普及している「複合一貫輸送」に対応したものです。

ここでは、それぞれの事業形態によって手続きを変化させて規制をシンプルにすることで近代化に対応させています。ここでは以下のような手続きが必要になります。

  • 運送取次事業は登録制
  • 利用運送は許可制
  • 運賃は事前届け出制

運送業界の規制緩和の目的とは?

運送会社

これらの規制緩和によってもたらされるものとしてはまず「新規参入事業者を増やす」ということがあります。

厳しい規制があったために新たに参入できなかった企業にとっては規制が緩和されたことで参入しやすくなるというメリットがあるのです。

実際に海外からの観光客が増えて観光バスや高速バスの不足状態に陥っていた業界で規制緩和が行われたことで、新規参入事業者が増加して状況が少し改善されました。

また同時に、トラックやバスなどの運送業界は深刻なドライバー不足に陥っているのですが、その規制を緩和することでドライバーの増加を行っていこうという目的もあります。

なかなかそれは実現していませんが、増加に向けて業界では取り組みが続けて行われています。

利用者への影響は?

規制が緩和され新規参入事業者が増加してくると価格競争が行われることになります。すると競争のために運賃などの価格は下がるということになりますので、利用者としてはメリットになります。

また、事業者が増加することで選択肢も増えることになり、多くの中から選ぶことが可能となっていきます。

具体的なトラックの規制緩和について

集配トラックの駐車の規制緩和

ネットショッピングの増加などによって集配トラックはますます増加傾向にありますが、そこにも規制緩和が行われています。集配中に駐車している車が取り締まりを受けることで事業運営に大きなダメージを与えていることが理由です。

ドライバーは駐車スペースを探さなければならなくなり、その時間が余計にかかること、また取り締まりを受けるとドライバー個人や会社にとっても大きなペナルティになることからドライバーのモチベーションの低下が問題になっていました。

そこで東京の警視庁では東京都の港区、渋谷区、品川区などに試験的に「集配貨物車専用駐車スペース」を設けましたが、集配場所から遠ければ意味がないという問題もあります。

そこで駐車スペースの増加や有料駐車場の活用などさらに改善案が提出されており、さらなる緩和が期待されています。

トラックの全長の規制緩和

構造改革特区法の規制における特例措置「長大フルトレーラ 連結車による輸送効率化事業」として2013年の3月から最長21mまでのフルトレーラーが全国を走行できるようになりました。

それをさらに全長25mまで緩和することで物流効率をさらに高めていこうとしています。ただしこの21m規制も新しい25m規制も正式な法律の改正ではなく通達ベースでの緩和となっています。

規制緩和によるデメリットはないの?

規制が緩和されることでもちろんメリットもあるのですが、一部デメリットもあります。それは規制緩和によって新規参入者が増加して価格競争が行われるようになるとその負担がドライバーに押し寄せることがあります。

利益を確保するためにドライバーに過酷な勤務を強制するということがあり、過労のために大きな事故を起こしたニュースもあります。

まとめ

運送業界では規制緩和が進められており、新規参入の増加、ドライバーの増加などが期待されています。同時にデメリットが発生したり、まだまだ改善に不足していることもあるので、さらなる対応が予想されています。

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